各地に残る土俗的な土壁や土蔵、
左官仕事の現場、
漆喰窯の跡などを訪ね、
そこで用いられた技術や素材の魅力を絵と文でつづる。
今はなき名物業界誌『左官教室』に連載されたシリーズをまとめた1冊。
左官仕事のフォークロア
文・小林純夫
絵・村尾かずこ
定価:2,640円(税込)
ISBNコード:9784540181221
発行:2018/11
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 136ページ
<文> 小林 澄夫(こばやし すみお)
1943年静岡県浜松市出身。1968年から2007年まで月刊『左官教室』(黒潮社)を編集。2008年から09年まで月刊『さかん』編集長。著書に『左官礼賛』(2001年)『左官礼賛2』(2009年)いずれも石風社、『左官読本1~10』風土社ほか。
<絵> 村尾 かずこ(むらお かずこ)
造形作家、二級左官技能士。1965年生まれ。武藏野美術短期大学美術科卒。同専攻科にてフレスコ画を学ぶ。『左官教室』連載「塗り壁の考古学」イラストを1995年開始時から担当。著書に絵本『どぞう』(2005年)SABU出版。
左官の塗り壁は文化である 小林澄夫
凡例
■ 読者からのおたより ■
----- 2018/12/23 -----
『塗り壁が生まれた風景』興味深く読ませていただきました。関連業界で生きてきたわけでもなく、文化としての壁・左官に個人的興味があって読んだのですが、まさに私が求めていた本でした。与えられた環境の中で、その土地の人々が工夫をこらして壁を作っていく、その歴史は、人が生きていくとはどういうことなのかを考えさせてくれました。
私は今八十歳で、小さい頃から見慣れてきた塗り壁が大変な知恵と手間によるものであることがよくわかりました。今様の手書きの本はあまり好きではないのですが、ていねいな文字と絵で、全く抵抗なく読むことができました。有難うございました。一言お礼が言いたくて書きました。
藁をまぜた土を寝かせておくと強烈な匂いがするということを、幸田文の文章で知りました。人の数が少なくて、土地に余裕があった時代にはそういうこともできたのでしょうね。
左官仕事が敗戦と同時に終わった、というのはショックでした。
(東京都日野市・男性)
----- 2019/3/1 -----
公益社団法人 全国学校図書館協議会
『学校図書館速報版』2019年3月1日号
「こんな本を見つけました」~本号掲載の選定図書より~
各地の民家や古寺などの伝統建築で使われている塗り壁について、種類、工程、材料、道具等を、現地を訪れイラストとともにルポルタージュしている。秋田の土瀝青(天然アスファルト)、香川県小豆島の猪垣、沖縄のムーチー(琉球漆喰)など、各地の塗り壁を紹介する。壁って深い。塗り壁は文化だと実感する。
----- 2018/12/21 -----
『住む。』No.68(2019年冬号) Sumu Square "Books"
地方色豊かな塗り壁に見る大らかで豊かな左官の世界
いまはもう発行されていない『左官教室』という業界誌で、2007年まで11年間にわたり続いた連載「塗り壁の考古学」をまとめた本だ。
連載時、『左官教室』の編集長で連載の著者でもある小林澄夫氏が取材して回った日本各地の塗り壁が、素材ごとに分けられて紹介される。石や砂利、土などを使った16件の「山のもの」をはじめ、「野のもの」21件、「海のもの」11件、そして「海外編」10件と計58種類の塗り壁が登場する。今号の「家をつくるなら、近くの山の木で」の家で使われている土佐漆喰も「山のもの」の章に見ることができる。
手書きの文章と絵で構成されるページは、淡々と事実がまとめられているにも関わらず、取材の深さや視点に左官への敬意が感じられて、朴訥なイラストとともに何か温かなものが伝わってくる。
----- 2019/7/1~13 -----
農文協ブックセンター・階段ギャラリーにて
12日(金)19:00~20:00は「今日の左官トーク」も開催します(定員約40名)。