薬剤抵抗性病害虫や、
立枯病などの土壌病害が花産地で問題となっている。
天敵などの減農薬技術や、
低濃度エタノール還元消毒などの土壌消毒技術を解説。
スターチスとデルフィニウムの栽培事例、
隔離土耕栽培も収録。
花の天敵利用/土壌病害対策
農文協 編
定価:7,700円(税込)
ISBNコード:9784540240591
発行:2025/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:B5 228ページ
花卉の減農薬は野菜や果樹に比べて遅れていたが,薬剤抵抗性害虫が増え,薬剤散布労力も増すばかりのなか,いよいよ天敵利用をはじめとした減農薬栽培技術が広がり始めた。また,減農薬栽培された花の需要は,店内装飾用などを中心として徐々に高まりつつある。
また,トルコギキョウなどのリンドウ科の花卉ではフザリウム立枯病が全国的な問題になっている。それに対抗すべく,薬剤では消毒しきれない作土層深くまで消毒が行きわたる低濃度エタノールを用いた土壌還元消毒が普及しつつある。
本書では関連研究や事例を収録。キク・バラ・カーネ・トルコギキョウの主流4品目から草花などのサブ品目まで,花卉の減農薬運動・脱薬剤の土壌消毒技術が多角的にわかる本とする。
このほか,需給ともに高まりを見せるスターチス,コロナ禍でも堅調だったデルフィニウムの基礎技術や育種動向を改訂。水稲育苗ハウス・育苗箱を利用した隔離土耕栽培も収録。
熊本県の施設バラ農家・村上健次氏の圃場。ハダニがいない場合にえさとなるバラの花粉と,有機物マルチとして敷き詰めているカヤにより,天敵カブリダニが増殖しやすい環境が形成された(撮影:赤松富仁)
低濃度エタノール土壌還元消毒の実証圃場。通路に灌水チューブを設置することで、ウネ立て後に還元消毒をする場合でもウネの土が硬くなりにくく崩れにくい(提供:渋谷淳平・高知県農業イノベーション推進課)
スターチス・シヌアータの冷蔵育苗施設。順化後の段階であれば常温での育苗も可能となった(提供:宮前治加・和歌山県農業試験場暖地園芸センター)
水稲育苗施設でのフリージア隔離土耕栽培。露地プール育苗の導入により、空いた育苗ハウスで花卉栽培ができるようになった(提供:村濱稔・石川県農林水産部ブランド戦略課)