日本農史研究 上・下

德永光俊 著

根本原理としての生きもの循環から、
農法に刮目し
時代と共にうごく風土から、
農学をとらえなおす

上 「生きもの循環」と農法

生きもの循環の基本原理は、「おかげさま・おたがいさま」「いただきます・ごちそうさま」という日常生活の和語の世界。そこから、風土とともにある農法を問う。

下 「創発する風土」と農学

あるべき農法を掲げる農学と、風土とともに積み重ねられてきた農法。その両者の「すき間」に着目し、創発する風土から新たな農学を描く。

 


 

日本農史研究 上
「生きもの循環」と農法

德永光俊 著
定価:3,960円(税込)
ISBNコード:9784540241215
発行:2025/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5変形 360ページ

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日本農史研究 下
「創発する風土」と農学

德永光俊 著
定価:3,960円(税込)
ISBNコード:9784540241222
発行:2025/6
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5変形 336ページ

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上巻より 大和農法の展開(德永作図)

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下巻より 戦後の農法論研究の比較検討(德永作図)

著者

德永 光俊(とくなが みつとし)

1952年愛媛県松山市生まれ。1989年京都大学農学博士取得。1985〜2020年大阪経済大学経済学部に勤務、現在名誉教授。2010〜2019年大阪経済大学学長。
主な著書に、『日本農書全集』第Ⅱ期 全37巻 1993〜1997(共編)。『日本農法の水脈―作りまわしと作りならし―』1996(単著)。『日本農法史研究―畑と田の再結合のために―』1997(単著)。『日本農法の天道―現代農業と江戸期の農書―』2000(単著)。『歴史と農書に学ぶ 日本農法の心土―まわし・ならし・合わせ―』2019(単著)。いずれも農文協。

「生きもの循環」と農法 目次

  • はじめに 「生きもの循環」から農法をとらえなおす
  • 第1章 根本原理としての生きもの循環
  • 第1節 江戸農書にみる「忌地」
  • 第2節 江戸農書・安藤昌益にみる生きもの循環
  • 第3節 現代農業者にみる生きもの循環
  • 第4節 「雑草・害虫」から「ただの草・ただの虫」へ
  • 第2章 風土が響存する生きもの循環
  • 第1節 太陽を収穫する緑の設計
  • 第2節 根と微生物と土
  • 第3節 三澤勝衛に学ぶ生きものが響存する風土
  • 第4節 風土からみる農術の構造
  • 第3章 狭義の農法=農術における内的発達法則
  • 第1節 大和農法の水稲反収と作付方式にみるS字カーブ
  • 第2節 収穫逓減の法則とその克服
  • 第3節 いのちの技法としての農術の内的発達法則
  • 第4節 農術の設計思想(アーキテクチャー)
  • 第5節 増収と安定をめざす個別適正設計
  • 第4章 変容する農術の開発・普及・定着過程
  • 第1節 大和農法にみる先駆け・普及・受容
  • 第2節 ロジャーズの普及理論に学ぶ
  • 第3節 戦後日本の開拓的研究
  • 第4節 風土を貫く農術遺伝子
  • 第5章 日本列島における風土農法の流れとかたち
  • 第1節 水稲反収の地域的多様性
  • 第2節 雑穀・畑作・有畜からみる風土農法
  • 第3節 日本列島の作付方式の流れ
  • 第4節 作付方式からみる地域のかたち
  • 第6章 農術から広義・大義の風土農法へ
  • 第1節 温量指数にもとづく世界農業の四大類型
  • 第2節 天然・人工農法から二一世紀は「天工農法」
  • 第3節 永続する家と村は「ヨコ」社会
  • 第4節 生きもの循環と響き合う農家生活リズム
  • おわりに 生きもの循環は「おかげさま・おたがいさま」の世界

「創発する風土」と農学 目次

  • はじめに 創発する風土から農学をとらえなおす
  • 第1章 欧米農学の直輸入から「日本」の発見
  • 第1節 明治期から戦前までの農法論
  • 第2節 久保佐土美・青鹿四郎の活躍
  • 第2章 加用信文の農法論における生態学への転換
        ――戦後農業の混迷に、西欧をモデルとする一つの発展方向を明示
  • 第1節 世界史の発展法則としての段階論的農法論
  • 第2節 加用の生態学への理論的転換を活かす
  • 第3章 飯沼二郎の農法論における風土の限界
        ――高度経済成長のもとで、西欧モデルから脱却するアジア・日本農法の提案
  • 第1節 地域類型論的農法論からの農業革命論
  • 第2節 静態的な飯沼風土論を動態化させる
  • 第4章 熊代幸雄の農法論における生命論の意義
        ――日・中・欧の比較農書論からグローバルに考える
  • 第1節 段階と類型を統一する比較農法論
  • 第2節 生命意識による熊代農法論を受け継ぐ
  • 第5章 守田志郎の農法論における生活的循環論の展開
        ――基本法農政の破綻・減反を批判する「農業は農業である」
  • 第1節 戦後農法論のちゃぶ台返しと西欧モデルの否定
  • 第2節 守田の虚像と実像、守田農法論を発展させる
  • 第6章 椎名重明の農学思想論における「自然愛」への飛躍
  • 第1節 『農学の思想』におけるマルクスの否定
  • 第2節 クロポトキンの相互扶助論への共感
  • 第7章 外から日本列島の農学をとらえなおす
  • 第1節 中国・北京農村経済研究所からのまなざし
  • 第2節 朝鮮農業試験場からのまなざし
  • 第8章 創発する「風土」を発見する旅(Ⅰ)
  • 第1節 古風土記から江戸農書へ
  • 第2節 小野武夫と黒正巌
  • 第9章 創発する「風土」を発見する旅(Ⅱ)
  • 第1節 牧口常三郎『人生地理学』から黒澤酉蔵『農業国デンマーク』へ
  • 第2節 二〇世紀から二一世紀の風土研究
  • 第3節 三澤の「風土」から二一世紀の「創発する風土」へ
  • 第10章 「自前の農学」としての風土農学
  • 第1節 明治期の「経験」と「学理」
  • 第2節 江戸農書は「自前の農学」
  • 第3節 風土農学に流れる自然観の変遷
  • おわりに 日本列島の風土農学は、「おかげさま・おたがいさま」の世界
  • あとがき

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