生・煮る・焼く・揚げる
おいしさの極意
鯨肉は可能性に満ちている
松本青山 著
定価:3,960円(税込)
ISBNコード:9784540251108
発行:2025/7
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:B5 144ページ
食材としての「鯨肉」のすばらしさを知り、おいしく料理してほしい。日本の食文化を支えてきた鯨や捕鯨のことを次世代に伝えていきたい。著者のそんな思いを重ねた一冊です。
著者は、関東で唯一の捕鯨文化が根づく千葉県南房総市和田町(和田浦)にゆかりがあり、幼い頃からこの小さな漁村にあがる鯨、鯨を解体する鯨組、鯨肉を買い求める地元の人たち、鯨の家庭料理などに親しんできました。
本書では、食材としての鯨肉のすばらしさをお伝えすると共に、40点ほどの鯨肉料理のレシピを紹介します。赤身肉からうねす、皮、尾羽毛、舌肉、コロまで、鯨をまるごといただきます。著者が得意とする食品科学の視点で、鯨肉に合う調理法、味付け、副材料や薬味などの食材合わせをご提案していきます。
加えて、日本の鯨や捕鯨文化のこと、南房総和田浦と鯨の物語も、この本には欠かせない要素です。日本各地で悠久の時をつないできた鯨肉料理を次の世代に渡すために、食に携わる人たちには今こそ鯨をおいしく料理してほしい。そのための一冊になればと思います。
赤肉の背肉はさっぱりとした上質な赤身。
たたき。やわらかくなめらかな背肉と、コリコリとした食感の本皮をたっぷりの薬味で。
焼肉。鍋は水分を逃がせるジンギスカン鍋。山椒をまぶし、大根おろしと醤油でワイルドに食す。
土手煮。コロは脂抜きした皮、コラーゲンの塊でプルプル。濃厚で甘めの味噌ダレで、背肉と食べる。
竜田揚げ。冷凍肉ならチルド室で3日間解凍でやわらかく。片栗粉は大粒を使うとザックリとおいしい。
松本 青山(まつもと せいざん)
食の知的好奇心を追求する「花冠」主人。日本の伝統食文化研究の第一人者として幅広く活動する。世界料理本アカデミー賞と称されるグルマン世界料理本大賞で最高位殿堂、創設最高賞、創設名誉賞などを受賞。
東京農業大学卒業。著書に下記がある。
『お椀ひとつで一汁一菜 雑煮365日』(NHK出版、2020年)、『1+1の和の料理 単純こそがおいしい理由』(NHK出版、2015年)、『日本料理と天皇』(枻出版社、2014年)、『すき焼き』(カザン、2011年)、『食材は語る』(カザン、2010年)いずれも「松本栄文」名義。