楽しいまんがと図解で、土壌の化学基礎、診断データの出し方・使い方から、
土の生きものと有機物、土づくりの実際まで、ビックリするほどよくわかる。
根っこのルートさんがガイドする土のワンダーランドへようこそ!
根っこから見た土の世界
著者:村上敏文
定価:1,540円(税込)
ISBNコード:9784540151033
発行:2018/02
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 112ページ
村上 敏文(むらかみ としふみ)
1957年大阪市生まれ。東京大学大学院博士課程修了。農学博士。
農水省熱帯農業研究センター、長野県中信農業試験場、JICA専門家、
農研機構東北農業研究センターなどを経て、
本書執筆時は、農研機構西日本農業研究センターに勤務。
2018年より、東京農業大学教授(教職・学術情報課程 農業科教育研究室)。
根研究学会評議員(元副会長)。
2006年、根系の迅速調査法、マルチカラー染色法の開発で同学会学術特別賞。
簡易空撮気球「ひばりは見た!」開発者。
JA全農肥料農薬部編『土と肥料のハンドブック』でイラスト担当。
『現代農業』2014年7月号「挑戦 流し込み施肥を空から見る」に協力、
2015年1月号から自筆まんが「根っこになって土を診る」全18回を連載。
はじめに
■ 読者カードから ■
----- 2021/8 -----
すごくわかりやすくて一気に読んでしまいました。何度も読みます。
(北海道 会社員 女性 20代)
----- 2020/9 -----
ミニトマトの苗やトマトを食べた後、種を植えたことから土に興味がわきました。初心者すぎて内容難しいところ多かったですが、コンポストで応用できることもありました。
(北海道 女性)
----- 2018/10 -----
表題通りで、内容が理解しやすい(一目でわかる)、また見たくなる。見やすい(斬新である)。
(静岡県 60代男性)
----- 2018/10 -----
家で、畑(趣味)をしているが、もう少し踏み込んだ知識を身につけたいと思いつつ、参考書的な本ばかりだったので手をつけていなかったが、この本は、絵をとり入れているので視覚的に理解でき、読み進めることができた。
(滋賀県 30代男性)
----- 2018/7 -----
1回読んでみましたが、じっくりと、何回も読まないと化学が解らないので! まんがという文字にひかれました。私自身も絵が好きなので、文章だけより絵での説明が頭に入りやすいのがいいです。難しい文字が並ぶと脳がついてきません。若い時のようにはできないですね。狭い畑での家庭菜園ですが、野菜作りは楽しみでもあります。
(熊本県 60代女性)
----- 2018/10/29 -----
一般社団法人 全国農業改良普及支援協会 『技術と普及』2018年11月号 「BOOKS」より
土壌肥料と根の専門家である村上敏文氏が、「根っこ目線」「まんがでわかりやすく」「クスッと笑える」を基本コンセプトに描き上げた本書は、専門書でありながら気軽に楽しく実感的に土の基本を理解できる新しい土の本である。月刊『現代農業』の好評連載記事が一冊の本となったものだが、新作記事33項も加えている。
特徴は、「わかりやすさ」。本書では人間味ある根っこキャラクターがイラストで登場。キャラクターが会話するように土の世界を案内してくれるので、愛着をもって学べる。英文字が並ぶ専門用語も極力排しており、難しく感じさせないはずだ。化学基礎、現場でよく使う概念と指標、各種データの測り方・使い方、土の生きものと有機物、土作りの実際など、言葉だけでは難しい土壌肥料の概念も理解しやすい。まんが(イラスト)が著者の筆によるところもユニークだ。
楽しみながら肩肘張らずに、読む者に“土を診るモノサシ”を提供してくれる本書は、農家や菜園愛好家、土について興味をもっているすべてのひとにおすすめだ。
----- 2018/7/1 -----
公益財団法人 農業・環境・健康研究所 『伊豆の国だより』21号 「本の紹介」
陽 捷行(副理事長 元・農業環境技術研究所理事長)
本書の最後に「スペシャルサンクス」という頁がある。通常は「あとがき」といわれるものである。その中に、「本書では、原子や分子を日本語で表記し(よい子はまねをしないよう)、土の中の反応を一コマギャグ漫画で説明するという、新しい試みに挑戦しました」とある。著者は、子どもがこのような専門家の土の本を読むとでも思っているのであろうか。このことが、すでにギャグ(gag)である。ギャグ好きな著者の面目躍如たるものがある。
「はじめに」で3根の解説根(人や者でなく根)、「私ルートさん」「娘のルー子」「おじのルー蔵」が紹介される。化学概念をベースに土の中で起こるさまざまな現象を、根っこの目線で(紹介者注:土の中の目線だから、暗くて読者には見えないし、よくわからないはずだ!)、一コマ漫画風にして(紹介者注:漫画風でなく、漫画そのものだ)わかりやすく解説するという。「娘のルー子」は恋する乙女。「おじのルー蔵」は人生経験豊かな飲み助のちょい悪おやじ。ルー蔵はいつも片手に酒カップ。
著者を知るこの本の紹介者(すなわち、この項の筆者)は、農水省の入省試験の面接官であったころから、著者をよく知っている。それを視点にすれば、「おじのルー蔵」こそが、著者の分身ではないかと疑う。それに「私ルート」の本人は、ゆめゆめ娘がいるはずのない独身貴族なのだから。隠し娘がいれば、べつの話。これはギャグではない。
著者は、農学博士の学位を持ちながら農水省の難しい試験に合格した、特異な秀才である。これもギャグではない。そのうえ、土壌肥料と根が専門の学者である。その専門家が「根っこ目線」「まんがでわかりやすく」「クスッと笑える」を基本概念にこの本を描き上げた。土の本質をまったく新しい手法で解説した希有な本である。
楽しい漫画と図解で、土壌の化学基礎、診断データの出し方・使い方から、土の生きもの、有機物、土づくりの実際まで、ビックリするほどよくわかる本である。まさに、根っこのルートさんがガイドする土のワンダーランドへ、ようこそ!と、いえる名著である。もちろん、ギャグではない。
土壌に関する本はゴマンとあるが、この「まんがでわかる土と肥料:農文協」と拙著の「18cmの軌跡:三五館」は、その特異性において群を抜いているのではないか。前者は、著者の土の理解度と漫画力において。後者は、出版社が倒産して洛陽の紙価を高しめたことにおいて。これはギャグではない。
さて、内容である。「田畑の土を診るモノサシ」「作物の養分と肥料のヒミツ」「豊かな土をつくる有機物」「土は生きものワンダーランド」「根っこにとってよい土とは?」。これらの中で、特異的な漫画的解説は「植物の口は土の中にある!?」「土の色を見れば素性がわかる。土は色々」「水たっぷりの土なのに吸えない?」「根っこの形は土次第」「土壌肥料業界のオキテ」「まいた肥料が空へ逃げていく」「愛とリンは奪うもの?」「田んぼから温泉のニオイ?」「森の木は根っとわーくで結ばれている」「ボカシ発酵は微生物の歴史絵巻」「菌根菌は根っこのお助けマン」「放線菌は土のニオイの元」などなど。
土と根が分かっている専門家はもとより、土と根の見えない世界を観たい方は是非一読を。なお、著者曰わく。「この本をアマゾンで見ると、コミックに分類されていたので、漫画家?デビューということになるようです」。還暦になって漫画家としての真の道を見つけた著者に、幸あれと願わずにはおれない。
ちなみに、著者はこの4月から東京農大で農業教育法なる講義を担当している。学生は著者のギャグに惑わされながら、楽しい時間を勉学に費やすことが出来る。この講義を受ける学生は幸せである。
----- 2018/6/1 -----
全国農業共済協会(NOSAI協会)『月刊NOSAI』2018年6月号 「自著自薦」
まんがでわかる~というタイトルの本は、世の中にあふれていますが、土壌肥料分野では本書がはじめてではないかと思います。漫画といってもストーリー漫画ではなく、一コマギャグ漫画です。
漫画は著者自身が描いたのですが、そもそもなぜ、漫画で解説をしようと思ったのかといいますと、常々土壌肥料の話はわかりにくいとまわりの人々から言われてきたことがきっかけです。
わかりにくさの原因は、この分野の基礎にある化学概念の難しさや英語表記の多さによると思われます。たとえば、農家向けの技術書でも、pH、CEC、EC、N、P、K、C/N、meqといった英語の専門用語が普通に氾濫しています。それで、筆者は、以前から土壌肥料の概念をなんとかわかりやすく図で説明できないかと考えていたのですが、ちょうど、農文協でもそのような企画が持ち上がり、現代農業誌で連載が決まり、それに項目を追加する形で本書が刊行されることになりました。
本書では、MCとしてルートさんという根のキャラクターが登場し、その娘のルー子(恋する乙女)と叔父のルー蔵(人生経験豊富なちょい悪オヤジ)も交えて、お金、お酒、たばこ、愛情というキーワードで、ちょっと笑える大人のストーリーを展開していきます。
わかりにくさの原因の英文字も極力排しており、酸素原子は「さ」、水素原子は「す」と表すなど大胆な説明をしています。土壌肥料の基礎的な概念の説明を中心にしていますが、かなり専門的な話もさらっと入っており、一般の方にはほとんどなじみがない分析法についても書かれています。
本書は、農家や園芸愛好家向けですが、土壌肥料を勉強したい学生や他分野の研究者の皆さんにも役立つ土壌肥料のトンデモ解説本だと自負しています。
----- 2018/5/20 -----
一般財団法人 日本土壌協会『土づくりとエコ農業』
2018年4・5月号 Vol.50 No.544 「新刊紹介」
横山 正(東京農工大学農学研究院教授)
村上敏文博士は、学生のころから本書『まんがでわかる土と肥料』にある独特の筆使いで、いろんな漫画解説書を作成していた。15N測定法の解説書もその一つで、ゴルゴ13に似た人物が、15N測定の具体的な方法を解説していたと思う。分かりやすいと、周囲の学生等には大変な人気であった。2011年3月の東日本大震災後、研究関連で二本松市を度々訪れる機会ができ、時々、農研機構東北農業研究センター福島キャンパスの村上博士を訪問する機会があったが、どうも漫画を描いているように見えたが、まさか、本書を書いているとは思わなかった。今回、読ませていただく機会を得たが、土壌肥料という研究分野の既往の成果を、根の周りの事象に抽象化(根っこから見た世界に変え)し、非常にわかりやすく記載されていた。こんなに分かりやすく記載された土壌肥料学の解説書は今までなかったと思う。農家さん、学生さん、高校生、中学生もスッと読めると感じた。必要なキーワードは大体網羅され、その説明がよく考えられた非常に現代的な表現で記載されており、よく考えたなーと感心させられ、また誰も飽きずに笑いを取りながら、「おわりに」と「スペシャルサンクス」まで1日あればたどり着け、基本的な知識は習得できる。実に素晴らしい本である。公務員試験や土壌医検定試験の勉強資料にもなるのではと思う。皆様、ぜひ、手に取って読んで頂き、「根っこから見た土の世界」を堪能して頂ければと願います。読んで、楽しかったです。
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●『根の研究』(根研究学会 会誌)27巻/2018年 1号(自著紹介)
●『日本農業新聞』4月29日【あぜ道書店】(書評ページ)
「難しい土壌肥料のことも、『根っこキャラ』を案内役に分かりやすく解説」
●『農業共済新聞』4月2週号【新刊紹介】(書評ページ)
●『全国農業新聞』3月16日【本棚】(書評)