ともに豊かになる有機農業の村

農文協 編/楠本雅弘・中島紀一 著

水田農業の故郷=中国・揚子江下流の一農村が取り組む村づくり実践を、
有機農業・協同組合の二人の研究者が歩き、冷静に描写・解析。
日本に学びながら“農業で豊かに”を志した村づくりの全貌を描く。

ともに豊かになる有機農業の村

中国江南・戴庄村(たいしょうそん)の実践
著者:農文協 編/楠本雅弘・中島紀一 著
定価:2,640円(税込)
ISBNコード:9784540151071
発行:2018/11
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:四六 228ページ

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出穂後のイネの生育を調査する趙亜夫さん
レンゲを栽培しガチョウを放して田んぼの土づくり
カキもモモ栽培も草生+ニワトリで無農薬。家禽は大事な収入源でもある
戴庄村の集落風景 手前は造成中の有機農業モデル園

著者

楠本 雅弘(くすもと まさひろ)

1941年愛媛県生まれ。一橋大学経済学部卒。22年間、農林漁業金融公庫に勤務。1987年に山形大学に移り教養部・農学部の教授。現在、農山村地域経済研究所を主催。全国の集落を歴訪し、「2階建て方式の集落営農」によって地域を再生する実践活動に従事している。
おもな著作 『農山漁村経済更生運動と小平権一』(不二出版)、『複式簿記を使いこなす』(農文協)、『地域の多様な条件を生かす 集落営農』(農文協)、『進化する集落営農-新しい「社会的協同経営体」と農協の役割』(農文協)など。

中島 紀一(なかじま きいち)

1947年埼玉県生まれ。東京教育大学農学部卒。鯉渕学園教授を経て、2001年より茨城大学教授、付属農場長、農学部長などを務める。日本有機農業学会の設立に参画し、2004年から2009年まで会長を務めた。現在は、NPO法人有機農業技術会議理事長。
おもな著作 『有機農業の技術とは何か-土に学び、実践者とともに』(農文協)、『有機農業政策と農の再生-新たな農本の地平へ』(コモンズ)、『有機農業がひらく可能性』(共著・ミネルヴァ書房)、『野の道の農学論』(筑波書房)など。

目次

はじめに

  • 序章 中国華南・有機農業の里 戴庄村――貧しさから豊かさへの15年
  • 1 はじめに
  • 2 有機農業の里 戴庄村のアウトライン
  • 3 戴庄村の有機農業
  • 4 戴庄村方式の確立
  •  
  • 第1章 戴庄村 有機農業の展開と現在
  • 1 はじめに
  • 2 有機稲作
  •  元合作社理事のベテラン農家-金国慶(きんこくけい)さん(67歳)
  •  作業委託している兼業農家-藍瑞華(らんずいか)さん(59歳)
  •  自前で大型機械を揃えた担い手農家-張光才(ちょうこうざい)さん(42歳)
  • 3 有機果樹 桃
  •  有機桃のモデル園づくりに協力した農家-杜中志(とちゅうし)さん(61歳)
  •  桃直売・農家レストランを展開する農家-彭玉和(ほうぎょくわ)さん(53歳)
  • 4 傾斜地開発
  •  ブドウ、イチジク、茶の複合経営農家-張正義(ちょうせいぎ)さん(51歳)
  • 5 畜産(発酵床養豚・有畜複合農業)
  •  発酵床養豚に取り組む農家-藍濤(らんとう)さん(60歳)
  •  村官でモデル園に就農し有畜複合農業に取り組む-汪厚俊(おうこうしゅん)さん(26歳)
  • 6 新しいモデル園
  • 第2章 地域農業としての戴庄村有機農業へ
  • 1 有機農業の技術的深化
  • 2 「有機農業」から「生態農業」へ
  • 3 「生態農業」概説
  • 4 戴庄村生態農業への期待
  • 5 担い手農家の構成
  • 6 農業専業合作社と地域協同
  • 7 三位一体化をめぐって
  •  【附】趙亜夫という農業指導の偉人
  •   ①農村工作者としての趙亜夫さん
  •   ②農村開発構想の柔軟さと的確さ
  •   ③農業技術者としての水準の高さ
  • 第3章 地域づくりのモデルとしての「戴庄村方式」――その可能性と課題
  • 1 江南稲作地帯の基礎行政村としての戴庄村
  •  (1)中国の地方制度と統治組織
  •  (2)戴庄村の地理と歴史
  •   ①戴庄村の地理的位置
  •   ②村の歴史と伝承
  •  (3)村びとの暮らし
  •   ①生活を支える社会基盤の整備は進んだ
  •   ②医療と教育は最低限のサービスを保障
  •   ③年中行事や民俗など
  •  (4)戴庄村の行政組織と村の運営
  • 2 社区型合作社による地域づくりをめざして
  •  (1)中国の合作社(協同組合)制度
  •   ①供銷合作社制度
  •   ②農民専業合作社
  •   ③農村信用社(農村信用合作社)
  •  (2)戴庄村有機農業合作社の設立
  •  (3)戴庄村合作社の活動とその成果
  •   ①実質的に全農家が組合員に
  •   ②村内の優良農地のほぼ全面積が有機栽培
  •   ③村民所得の着実な増加
  •   ④合作社の事業と組合員との関係
  •   ⑤モモの主力生産者と合作社との相互関係
  •  (4)合作社の米事業の実情と課題
  •   ①合作社が所有する米事業の機械・施設
  •   ②農機の個人所有と共同・共益の課題
  •   ③合作社の有機米販売事業
  •   ④合作社が村づくりの拠所となるために
  • 第4章 「共に幸福になる」地域づくりに向けて
    ――中国では新たに創り、日本では再構築すべき協同(共益)活動とそのしくみ
  • 1 日本と中国の農村集落の対比
  • 2 日本の農村集落の特質――自治・協同・共助活動――
  •  (1)集落の組織運営のルール
  •  (2)多数の協同活動組織
  •  (3)再構築が課題となってきた日本農村の協同活動組織
  • 3 中国農村の社会構成
  • 4 「共に幸福になる」地域づくりを担う協同組合組織の確立のために
  •  【戴庄村での実践への共感・期待と助言】
  • 5 その後の三年間の大きな変化――2015~2017年――
  •  (1)「開発」の大波が離農・離村を促進
  •  (2)「激変」をどう受けとめるか
  •  (3)合作社の事業運営の見直し 
  •   ①作業受託面積の上限設定
  •   ②合作社による機械・施設の取得
  •   ③二期作への転換でコスト削減
  •   ④新たな販売先の開拓
  •   ⑤有機桃の販売手数料の引下げ
  • 附章  趙亜夫氏へのインタビュー
  •  ■貧農の子に生まれ
  •  ■新中国の思い出と農への志
  •  ■日本との交流
  •  ■作物毎の振興から地域の視点へ
  •  ■戴庄村へ
  •  ■戴庄村有機農業合作社の設立へ
  •  ■自立と自治の課題をみつめ
  •  
  • 農家の技術と協同の日中交流 その足どり ――あとがきにかえて
  •  1 農家技術がつなぐ日本と中国
  •   (1)『現代農業』との出会いから
  •   (2)農家技術への共感・信頼を土台として
  •  2 地域という視点と協同への共感
  •   (1)農業協同組合に協同の形と心を学ぶ
  •   (2)集落営農への着目
  •  3 東アジアで向き合う道を
  •   ブックロードへの想い

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