小麦1トンどり

高橋義雄 編著

日本でも、小麦1トンどりの道筋がはっきりしてきた。
播種量を減らし、きっちり出芽させて、
しっかりした茎に大きな穂をつけて実らせる!
「まきつけ八分作」の超多収栽培だ。

小麦1トンどり

薄まき・しっかり出芽 太茎でくず麦をなくす
編著者:高橋義雄
定価:2,200円(税込)
ISBNコード:9784540161391
発行:2017/08
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 128ページ

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1トンどりは、夢の話ではない!

1トンと書くとたいそうな数字だが、
1株1株、1本1本の小麦の姿を思い浮かべることができれば、
夢ではないことがすぐわかる。

前輪、後輪に加えて、播種機後部の鎮圧ローラで、均一な播種深を実現。鎮圧は重要。
分げつ調査で麦の「真実」に迫る。積雪地帯でも簡単にできる追跡調査法を紹介。
1穂粒数は1穂の中の粒の入る容器の数。そこにどれだけ充実した実を入れられるか。
小麦は雪の下で越冬する。その時に株がどんな状態になっているのかで穂数が決まる。


小麦1トンどりは、すぐそこにある!
『現代農業』2017年7月号 農文協編集局NEWS19(PDF)

著者

編著者

高橋 義雄(たかはし よしお)

北海道米麦改良協会技監。道内生産者団体への技術講習会講師として講演多数

著者

田原 修一(たはら しゅういち/網走農業改良普及センター清里支所)

荒木 英晴(あらき ひではる/十勝農業改良普及センター十勝北部支所)

千葉 健太郎(ちば けんたろう/石狩農業改良普及センター)

目次

  • 1、小麦1トンどり 技術革新のカンドコロ
    • 大きな穂とそれを支える太い茎づくりへの転換
      【写真で見る】 1トンどりの小麦つくり
      • 播種量を減らし、太い分げつ茎・大きい穂・稔りの良さで多収する
      • 越冬前の状態がカギを握る
      • 越冬前に葉齢5.0〜5.5葉、分げつに2枚の葉があれば、確実に穂になる
      • 適正播種量と越冬前/越冬後の生育
      • 播種床の鎮圧が重要
      • 播種深度によって これだけ小麦の育ちが違う
    • 1トンどりを支える 収量構成要素をコントロールする
      • 穂数
        • 穂数が増える条件
        • 穂数をコントロールする技術
      • 一穂粒数
        • 一穂粒数が増える条件
        • 一穂粒数をコントロールする技術
      • 総粒数・粒重
        • 総粒数
        • 粒重
    • 1トンどり 施肥の考え方
      • 1トンどりに窒素はどれくらい必要か?
        窒素施肥の基本的な考え方
        • (1)小麦が吸収する窒素
        • (2)施肥利用効率
        • (3)基肥の考え方
        • (4)追肥の考え方
        • (5)施肥上の留意事項

      (カコミ)生育診断と追肥の目安(起生期を中心に)

    • 忘れちゃいけない 超多収のための土づくりと補完技術
      • その1 輪作は基本中の基本
      • その2 根が十分に張れる土づくり
      • その3 土のpHを6.0〜6.5に
      • その4 水田転換畑では湿害対策の徹底
      • その5 覚えておきたい「麦なで」「鎮圧」「倒伏軽減剤」

      (カコミ)生育診断と追肥の目安(起生期を中心に)

      ・ヨーロッパでは軒並み1トンどりの時代

      ・光環境を活かせば九州でも1トンどり実現

      ・麦は麦 北も南も原理は同じ

  • 2、1トンとれる麦はここが違う 分げつから見えてきた超多収のすじ道
    • あなたはムギの分げつを見たことがあるか?
      • ムギ15万株 対 イネ2万株
      • 分げつが注目されなかったわけ
      • ムギはイネと同じなのだ!

      (カコミ)着色輪ゴム分げつ追跡調査法

    • 分げつ調査からわかった多収への道
      • (1)分げつ出現時期と有効化穂になる茎はどの時期の分げつか
      • (2)分げつ出現時期と収量の関係
      • (3)越冬前の株張りはどの程度重要か
    • 恐るべし鞘葉分げつの能力
      • (1)鞘葉分げつは気まぐれだけど
      • (2)鞘葉分げつが生育・収量に及ぼす影響
      • (3)鞘葉分げつの出現条件
    • めざせ1トン! 安定多収の5つの近道

      (コラム) 遅れ穂はいつ発生するのか?

  • 3、まきつけ八部作 薄まきの決め手は“播種床づくり”
    • 深まきは、百害あって一利なし 少量播種を活かす
      • 深まきの弊害① 出芽率の低下
      • 深まきの弊害② 越冬前の生育不足
      • 深まきの弊害③ 二段根の発生
    • フカフカ播種床をやめ、播種床鎮圧して種をまく 播種深一定の効果あり
      • 深まきの原因は「膨軟な播種床」にあり
      • 改善例① パワーハローによる砕土・整地
      • 改善例② 播種前の播種床鎮圧
    • 播種機のキャリブレーション 「播き付け八部作」実現のテクニック
      • 播種量調整の手順(サルキーSULKYを例に)
      • 播種深度の調整
  • 多収農家事例
    • 緑肥を活かし、ムラなく、キッチリと作ることだ
      • 十勝管内芽室町 吉本博之さん(76歳)
    • 麦なで励行、こまめな追肥で超多収
      • 十勝管内池田町 武智唯浩さん(62歳)
    • 品質良ければ量はついてくる
      • オホーツク管内清里町 堀川哲男さん(56歳)
    • 少量播種で確実に出芽させることこそ1トンへの近道
      • オホーツク管内小清水町 新村正敏さん(39歳)
    • 空知型輪作をベースにキャリブレーションを徹底
      • 空知管内岩見沢市 新田慎太郎さん(48才)

書評・反響

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■ 書評・ネットでの紹介など ■

----- 2018/2/23 -----

全国農業改良普及職員協議会機関誌『技術と普及』2018年3月号

 北海道の麦作には、反収1tをめざすという大きな目標がある。近年これは達成されつつあり、平成27年産の平均反収は634kg、反収1t越え農家が続出している。
 本書では、多収農家と現場の技術者たちの試行錯誤の末に確立された、「小麦1トンどり」の技術をまとめている。編著の高橋氏は長年、小麦栽培の技術指導に携わった普及OBであり、現役の普及指導員である著者の3氏が、理論と実践の両面からわかりやすく解説。1tどりを実現させた農家の実例が多数収録され、北海道以外の小麦作にも参考となる実用的な内容となっている。

 

----- 2017/10/25  -----

「北海道で1トン=世界の最高水準」わくわくする本
(地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 十勝農業試験場 場長 柳沢朗)

 「小麦1トンどり」、このタイトルはまさに衝撃的ですが、1トンどりは小麦関係者の夢でもありました。その夢の1トンどりを実践的かつ科学的でわかりやすく解説したのがこの本です。農業改良普及センターに長く勤務された北海道米麦改良協会技監の高橋義雄さんが編著者となり、現場の麦畑を数多く見て回り、収量向上のために日々努力されている普及指導員の著者らが、その経験と知識を一冊の本にまとめました。
 稲作では「苗半作」「苗七分作」といわれるように苗づくりがとても重要ですが、麦作でも土作りをはじめ、種をまくまでの準備と適切な作業がとても重要です。そして麦を健全に生育させ、作物の能力を最大限に発揮させるための栽培管理、これらの積み重ねにより多収が得られます。北海道で1トンどりを達成したということは、条件の違いを考えれば、世界の最高水準に到達したといってもよいかと思います。そんなことを考えるとわくわくしてきます。
 この本は、1トンを取ることだけが目的ではありません。もっと収量を上げたい、品質を良くしたい、安定した麦づくりがしたいと思っている皆様に参考になる内容です。研究、普及そして生産者、どの立場でも、日本のどの地域でも参考になりますので、麦に係わる関係者の皆様にぜひ読んでほしい本です。

 

----- 2017/8/28 -----

茎数問題を見事にクリア
(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 渡邊好昭)

 一気に読ませていただきました。おもしろいですね。とくに、茎数の問題は、昔から疑問に思っていた問題です。これを見事にクリアしてくれています。
 たぶん、パン用、めん用の違いだけでなく、品種によって違いがあるのだろうと思いますので、品種ごとにこれと同じ様なマニュアルができれば良いのではないかと思います。
 また、このお話は主に北海道の畑作地帯だったので、本州以南の水田でどの様にすれば良いのか、そこが問題です。本州以南の水田は、とにかく湿害問題をクリアしなくちゃ、300kg/10a代の収量から脱却できません。
 FOEAS(地下水位制御システム)ができて、一気に湿害問題が解決するかと思ったのですが、まだ、湿害問題の解決までには至っていないようです。あのFOEASの本が出て、だいぶ良くなったとは思いますが、まだまだ湿害問題を解消するところまでには時間が掛かるようです。
 この本が刺激となって、本州以南の研究者、普及員の皆さんが、もっと多収にチャレンジして、多収の条件を究明してくれると良いと思いました。

 

***** リンクはありません *****

『日本農業新聞』北海道版 11月15日

関連情報

----- 2017/11/17 -----

本書刊行記念「著者・関係者慰労会」メモより

 2010年にオホーツク地域農業会議で「きたほなみ高品質1トンどりプロジェクト」を立ち上げた。
 当初、試験では好成績を得たものの、現場での実績はさんざんで、関係者の検討会では「細麦1トンどり」「二反で1トンどり」などと冷やかされた。
 また、野球に例えて「『ホームランか三振か』の小麦栽培」と揶揄された時代もあった。
 そうしたなかで生まれたのが「薄まき・しっかり出芽・太茎でくず麦をなくす」という、現場の農家とともに作りあげた技術だった。
 その足跡をたどる北海道米麦改良協会発刊のパンフレット(下記リンクで開きます)。

・秋まき小麦 安定確収の決定版 良穂確保は適期適量播種で決まる!(2013/8)

・秋まき小麦 適正播種の土台づくり 播種床づくりを極めて”深まき”をなくす!(2013/8)

・麦の生理・生態に基づく栽培法
「麦づくりの究極技術 基本技術を知る!麦を見ずして麦はとれない!」(2015/4)

・秋まき小麦「平成27年産 きたほなみ」は、なぜとれたか?(2016/3)

 

----- 2017/10/30 -----

「掲載写真をカラーで見たい」というご要望にお応えしました

本書中ではモノクロで掲載していますが、下記リンク先では同じ写真をカラーでご覧になれます。

(詳しい解説や写真中の文などは省略していますので、当該ページでお読みください)

P.78~ 播種量調整の手順

P.86~ 播種深度の調整

 

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北海道の米麦生産と流通についての総合情報サイト

「一般社団法人 北海道米麦改良協会」のホームページへ

 

各作品ページのURLをQRコード化したリスト(PDF)はこちら

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