コンクリートやモルタルを使わない「空石積み」はエコで持続可能な技術。
崩した石を積み直せば地域資源が循環する。
むらの石工さんの口伝の技を気鋭の女性研究者がわかりやすく図解。
石積み技術を広く継承していくための方法についても説明する。
著者:真田純子
定価:2,970円(税込)
ISBNコード:9784540171826
発行:2018/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:B5 120ページ
(表紙イラスト:山中正大)
中山間地域の棚田や段畑にみられる石積みにはコンクリートやモルタルを使わない「空石積み」と呼ばれる技術がよく用いられている。空石積みにはもともとその土地から出てくる石が使われていて、積み直す際にもその石を再利用できる点など、地域資源を循環される持続可能な工法として環境的な観点からも見直されている。空石積みの技術は地域的なバリエーションはあっても原理は共通であり、コツさえ押さえれば誰でも継承することができる。石積みの農地をもっている人は、直す技術さえあれば、材料代はほとんどいらない。
本書はむらの石工さんの口伝の技を、気鋭の女性研究者がわかりやすく図解。石積み技術を広く継承していくための方法についても説明する。
真田 純子(さなだ じゅんこ)
広島県生まれ。東京工業大学環境・社会理工学院准教授。
学生時代に景観工学の研究室で緑のもつ意味について興味を抱き、博士論文では1930 年代の緑地計画史の研究を行った。
その研究が楽しかったため将来は資料に埋もれる研究者になるのが夢だったが、徳島大学に赴任後、石積みに目覚めて泥まみれで石積み施工をする研究者になった。
したがって専門が景観工学、土木史、都市計画史、石積み、農村計画など多岐にわたる専門不明の研究者ではあるが、いろいろなものを歴史的視点で調査し理解するのが武器。
著書に『都市の緑はどうあるべきか—東京緑地計画の考察から』(技報堂出版、2007 年)、『ようこそドボク学科へ!—都市・環境・デザイン・まちづくりと土木の学び方』(共編著、学芸出版社、2015 年)がある。
はじめに
■ 読者カードから ■
----- 2021/12 -----
空石積みの方法が解り易く解説してあり、図で表現して理解度を上げるべく考慮してある所が良かった。
(山口県 農業 60代 男性))
----- 2021/9 -----
かなり実践的な内容であり、すぐに活用できそう。河川工事でも地場の石材を使うようにしており、先生の考えには共感できる。
(埼玉県 公務員 50代 男性)
よく理解できる。わが家の心中路の擁壁を手持ちの石で積む計画をしていたので一気に実現できそう。
(愛媛県 自営業 70代 男性)
----- 2021/5 -----
猪被害で実家納屋下石垣が崩れ…。補修知識がないため購入した。無知な私にも初歩から理解することができた。後は実践するのみ。完璧めざさず、頑張りたいと思っている。若い方々が活躍しておられる事も知り、応援しています。
(大阪府 60代 女性)
----- 2021/3 -----
知っているようで知らないことが多くあり、参考になった。
(香川県 団体職員 50代 男性)
----- 2021/1 -----
「奥行きにぐる石を半分程入れると石積みが安定する」というのははじめて知った。よかった。
(新潟県 自由業 80代 男性)
----- 2020/11 -----
とても解りやすい本ですね。きれいな石積み(田舎)を見ると心がホッとします。石積みは基本が大事だと思います。女性の見方でやさしいですね。日本全国でこれは!!という石積みが見たいです。もちろん現地へ行って勉強したいです。
(岡山県 造園土木業 70代 男性)
自宅の宅地と畑の間の石積みがくずれたので積み直したがこの本はとても参考になった。床堀り、根石、石の面(ツラ)など自分では石垣修理は出来ないと思っていたので。
(長野県 自営業 60代 男性)
昨年の集中豪雨で決壊した自宅裏の沢補修工事を無手勝流にて作業中、本書の新聞広告を発見。入手精読した結果、試行錯誤で得た作業体験と本書の内容とが9割方合致したことが嬉しかった。台風のみならず猪の大活躍で、ここ高尾山中のあちこちの石垣が崩され、往生しているが、孫たちにも本書を与えて勉強させたい。拙宅は三代前まで農林業を生業としてきた「百姓」。百のうち十も継承できていない自分をご先祖に対して恥じるばかりであるが、農(百姓)は単なる食料生産ばかりではなく、生活・人生の原点・基本・基盤であることは理解しているつもり。今後共農の原点に立った良書ご出版を期待します。
(東京都 農業 70代 男性)
----- 2019/11 -----
隣のおじさんに貸していた田んぼの3.5m位の石垣が崩れて15年位。自分も仕事をやめて無職になって、崩れた石垣が気になって仕方ないのですが、自分で積めないし(体力面も自信ないし)どうしようかと悩んでいました。曾祖父は石屋だったので、学習して挑戦してみます。うまくいくか不安ですねー!
(大分県 60代 男性)
----- 2019/10 -----
公務員を退職して、里山地域で農林業を営んでいます。「石垣」の補修は日常の仕事ですが、基本を知りません。若い方々がそれを勉強して実践しているのがたのもしいし、うれしいです。自分も、もっと知りたいし、「徳島県内の石垣分布」みたいな調査があれば参加したいです。
(徳島県 60代 男性)
----- 2019/2 -----
110ページに長島町汐見の段畑がありましたが、今、長島町では県の助成を受けて、ホテル周辺で石積みの整備を進め、観光客誘致に乗り出しています。私も思います。日本の里山の風景に石積みはよく似合います。人の手によって一つ一つていねいに積み上げられた石積みは見る人を引きつけますよね。私も真田氏の石積みをマスターして、構成に石積みのある農村風景を残します。
(鹿児島県 60代 男性)
----- 2019/2 -----
石積みのやり方、誰に習えばいいのか、どこで教えてもらえるのか、八方ふさがりの時、この本に出会えました。土地土地で、口うつしで伝わった文化は、伝承がむずかしいので、この手の本は助かる。
(香川県 40代 男性)
95歳の義父にいつも石積みを教えてもらいましたが、本を読んでやってみると、より理論的に分かり、石積みがますますおもしろくなりました。おもしろくて何回も読んでしまいます。
(兵庫県 40代 女性)
----- 2019/1 -----
それぞれの持つ石の個性を生かしながら、石積みで石の壁を作る仕事は一人一人の個性を生かしながら社会、職場、地域を形造る事と同じだ。1つの石が周囲の石の支えとなったり周囲の石から支えられたりも、人の世の一人一人と同じだ。石積みに残る先人の知恵、技術に学ぶこの本と同様、建築、土木、漁業、農業等戦時tnの知恵技術を後世に残しておくことは今日の緊急課題と思います。
(広島県 70代 男性)
----- 2021/4/13 -----
場所の魅力は、あるものに手を入れていく中から、自然に生まれてくる
「石積み学校」をやって見えてきたこと、気づいたこと…
(「in Kamiyama」 > まちの手入れ > ほぼ月報 4月号)
----- 2019/4/25 -----
農村の景観を守りたい
「先人の石積みの技術を広く伝えたい」という東京工業大学准教授真田純子さん
田舎を歩いていて、棚田や段畑の風景に出会うとほっとする。急斜面の段畑をがっちり囲ってある石積みの擁壁は美しくもあり、その土地に暮らす人々の心意気のようなものも感じて頼もしい気になる。しかし近年、石積みの崩壊も目立つようになった。高齢化が進み、人手不足もあって、家族や集落で受け継がれてきた石積みの技術が危機に瀕しているのである。
東京工業大学の真田純子准教授は2007年、徳島大学の助教時代に石積みと出合った。コンクリートはモルタルなどの接着剤を使わず、崩した石を何度でも積み直すことのできるエコで持続可能な技術は、広く継承していくべきだと考えた。土地の石工さんから学んだ口伝のわざを『図解誰でもできる石積み入門』(農文協刊)にまとめた。この本は、少し大げさにいえば、日本の田舎の美しさを守る“救世主”となるかもしれない。(以上リード文 記事は全3ページ)
(地域づくりは面白い。地域を学び、地域で遊ぶためのヒューマンネットワークマガジン
『かがり火』No.186 2019April)
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●『読売新聞』2021年8月29日【サイエンス Human】
「伝統の頑丈な壁 生態系に優しく景観にも配慮」東京工業大学准教授 真田純子さん
(見出し)「石積み」活用 汗かき考察/「学校」設立、入門書もヒット
●『ヒューマンスキル教育研究』第29号(2021年4月) 「石積み」が培うコミュニケーション力
(見出し)石積みと人材育成/石積みとコミュニケーション/仕事力につながり、段取り、傾聴、周りへの気遣い/視点を変えると見えること/知識と体験がつながる瞬間/実感することの大切さ/体力と知力と協力で達成感
●『日本農業新聞』2019年3月31日【あぜ道書店(書評)】
「…棚田の石積みとそれを守る石工と知り合い、何度も通いながら、イラストでその技を写し取り、口伝の技術を伝えようとしている」
●『中日新聞』2019年3月21日【この人】農村の石積み文化を伝える景観工学者 真田純子さん
「技術というより文化でした」「持続可能な工法だと、新たな意義に気付きました」「農村の景観は暮らしがつくるのです」
●『全国農業新聞』2019年3月1日【本棚(書評)】
「…空石積みの技術のポイントや考え方などを、初心者向けにわかりやすく解説」
●『中国新聞』2019年2月6日【著者インタビュー】
「石積みの風景 美しさ以上の価値がある」
----- 2019/3/19 -----
対談 真田純子×崎谷浩一郎(株式会社イー・エー・ユー 代表取締役)
東京工業大学のリアルを伝える情報誌『TechTech』No.35 2019 Spring