内山節と語る 未来社会のデザイン(3部作)

内山節 著

労働や共同体をめぐる独自の思想を形成してきた著者による講義録3部作。
ゆきづまる近代的世界を超え、
いかに未来社会を構想し、おカネに振り回されない、
自然や共同体とともにある経済を考え、
共同体的世界をとりもどす手がかりを自然信仰や仏教思想に探る。

1 民主主義を問いなおす

デマゴーグ政治の跋扈や国家独立問題、そしてコロナ禍と、世界は分解と混乱を極めている。それは、近代国家やそのもとでの「民主主義・自由・平等」のもつ欺瞞が限界を露呈したからではないのか。ゆきづまる近代的世界を超えて、どのような未来社会を構想するのか。その答えを、伝統社会、そして農山村で活発化する伝統回帰の動きのなかにみいだす。自然と人間の関係、労働や共同体をめぐる独自の思想を構築してきた在野の哲学者が、米トランプ政権発足直後の2017年2月に開催された「東北農家の二月セミナー」で語った政治・社会論。

 

2 資本主義を乗りこえる

際限なく利潤を追求する資本主義経済が暴力的に台頭し、今日の荒廃した世界をつくりだしている。そもそも資本主義とはどのような経済なのか。それは伝統的な経済とどう違うのか。農業や共同体と資本主義の関係は? これらを平明に解き明かしたうえで、おカネに振り回されない、自然や共同体とともにある経済のかたちを構想する。その蓄積を一番もっているのは、農業だ。自然と人間の関係、労働や共同体をめぐる独自の思想を構築してきた哲学者・内山節が、2018年2月に開催された「東北農家の二月セミナー」にて語った新しい経済論。

 

3 新しい共同体の思想とは

近代ヨーロッパの文明思想は結局、国境やおカネといった虚構に支配された今日の世界をつくり出した。実体のある、結び合って暮らす共同体的世界をとりもどすにはどうすればよいのか。その手がかりは、日本の民衆が培ってきた土着・伝統の思想・文化にあった。自然信仰や仏教思想の展開をわかりやすくひもときながら、転換の時代をともに生きるための思想を構想する。自然と人間の関係、労働や共同体をめぐる独自の思想を構築してきた哲学者・内山節が、2019年2月に開催された「東北農家の二月セミナー」にて語った新しい思想論。

 


 

民主主義を問いなおす

内山 節 著
定価:1,320円(税込)
ISBNコード:9784540201769
発行:2021/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:四六 144ページ

本を購入する(田舎の本屋さん)試し読み(PDF)

資本主義を乗りこえる

内山 節 著
定価:1,210円(税込)
ISBNコード:9784540201776
発行:2021/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:四六 124ページ

本を購入する(田舎の本屋さん)試し読み(PDF)

新しい共同体の思想とは

内山 節 著
定価:1,320円(税込)
ISBNコード:9784540201783
発行:2021/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:四六 160ページ

本を購入する(田舎の本屋さん)試し読み(PDF)

著者

内山 節(うちやま たかし)

哲学者。1950年東京生まれ。東京都群馬県上野村を往復しながら暮らしている。
主な著書は『内山節著作集』(全15巻、農文協)に収録。近著に『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか』(講談社)、『いのちの場所』(岩波書店)、『修験道という生き方』(共著、新潮社)、『内山節と読む世界と日本の古典50冊』(農文協)など。
立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授(2010年4月~2015年3月)などを歴任。NPO法人・森づくりフォーラム代表理事。『かがり火』編集人。「東北農家の二月セミナー」「九州農家の会」など講師。

民主主義を問いなおす 目次

  • 序文 神話としての近代世界
  • 第1講 国家が意味を失う時代に
  • 民主主義は成立しうるのか
  • たそがれる国家
  • 民主主義と民主王朝制
  • 近代世界の建前について
  • 近代理念の崩壊
  • 分解と混乱を極める世界
  • 第2講 未来への構想力と伝統回帰
  • 現在のさまざまな伝統回帰
  • 上野村の伝統回帰について
  • 農村の伝統回帰とは何か
  • 未来社会のデザインは農業、農村にある
  •  討論から――ポジション取りとシステム保守を超えて
  • 第3講 関係的世界への回帰
  • 死者は存在するか」という問いに対して
  • 実体本質論の限界
  • 伝統思想が見た関係的世界
  • 関係を成立させる「場」について
  • 第4講 どこに根を張るか
  • 世界市場か、結び合う市場か
  • 根の張った経済社会へ

資本主義を乗りこえる 目次

  • 序文 資本主義はどこへ行くのか
  • 第1講 労働と交換、流通
  • 地域内交換経済について
  • 「働き方改革」をめぐって
  • 地域外への流通について
  • 今日の農業――二つの方向
  • 古い農業への回帰も
  • 第2講 資本主義的経済とは何か
  • 貨幣の自己増殖をめざす経済
  • 資本主義の自滅を食い止めてきたものは何か
  • 今日の荒廃した資本主義
  • 資本主義のメカニズムと人々の気持ち
  •  討論から――地域通貨について
  • 第3講 ほどほどの市場経済を模索する動き
  • ともにある経済の形
  • 利他の社会の思想的伝統
  • 農業が発信できるもの
  • 第4講 今日の経済について
  • 経済指標が有効性を失っていく
  • これまでの常識が通用しない

新しい共同体の思想とは 目次

  • 序文 伝統回帰の思想的課題
  • 第1講 共同体の思想
  • ヨーロッパの文明思想が限界を迎えた
  • 日本の伝統的社会観の特徴
  • 権力と民衆
  • 結び合って暮らす社会へ
  • 第2講 関係と実体
  • 本質は関係にある
  • 関係本質論と仏教
  • 第3講 明治以降の日本を問い直す
  • 明治が潰したもの
  • 国民の形成、国家への集約
  • 転換期のせめぎ合い
  • 近代的世界が行き詰まるなかで
  • これからの課題――「信仰」
  • 第4講 変革の思想を再検討する
  • しのいでいく柔らかな発想
  • 役割を引き受ける
  • あとがき

書評・反響

■ 読者カードから ■

----- 2021/8 -----

●『新しい共同体の思想とは』
内山節氏の共同体論を読むのは3回目ですが、本書はまたちがったアプローチがあり、大変楽しめました。「普遍を求める」とはどういうことなのか、本質を求めるのは対象を分解、分析するのではなく、関係性という視点でとらえるべき、等、新しい気づきを頂き、考え方が少し整理できました(東京都 自営業 男性 60代)

 

----- 2021/6 -----

●若者が保守的になり「システム変更を嫌がっている」という。そして「システムは幻想」にも同意する。その上で、投票率の低さについてはどう考えるべきか。「システム」は資本主義のシステムということでもあるのか。(神奈川県 男性 60代)

 

----- 2021/5 -----

●『民主主義を問いなおす』
 今の民主主義国家は選挙を経た王朝国家との啓示に現況のおかしさが腑に落ちる思いがしました。(愛知県 男性 60代)

●『資本主義を乗りこえる』
 現在の資本主義体制の終焉の啓示が腑に落ちるとともに現在の経済状況への違和感が少し解消されたように感じました。(愛知県 男性 60代)

 

----- 2021/4 -----

●『民主主義を問いなおす』
 待望の内山さんの新著。3冊購入し、新たに開けていく視野もあり、楽しく興味深く拝読。(神奈川県 自営業 男性 70代)
 関係と存在の整理。「どこに根をはるか」の「どこ」と「根」「はり方」は新たな立ち位置を考えさせてくれることとなった。(滋賀県 男性 80代)

●『新しい共同体の思想とは』
 著者の本は何冊か読ませてもらっていますが、今回購入する動機になったのはP.147の「この世界は空なのであって…」の言葉でした。全体を読んでみて、まだまだがんばらなくちゃと思っているところです。(愛知県 自営業 男性 60代)

 

----- 2021/3 -----

●『新しい共同体の思想とは』
 内山さんの初期の著書からの読者です。つねに引かれるものがあり、読んできています。最近になって、私自身の“近代化への志向”が恥ずかしくなってきています。卆寿になって気づき典型的な奥手の人間です。しかし内山さんに魅力をつねに感じつづけていた自分にうれしくも思ってます。こんな読者がいたことを内山先生によろしく!お伝え下さい。(静岡県 無職 男性 90代)

 

■ SNS (書名による検索結果) ■

Facebook(要ログイン)  |  Instagram  |  Twitter

 

----- 2021/7/31 -----

読みたい本 お薦めの1冊 三島利徳

虚構支配の世界から共同体的結びつきへ
内山 節『新しい共同体の思想とは』

 都市生活だけが人を引き付けていた時代とは変わって、農業や農山村の暮らしのよさが見直されるようになってきた。私も近年そう実感することが多い。
 1950年生まれの哲学者内山節さんはこうした農のある暮らしを再評価し、理論づけをしている。
 今回「内山節と語る未来社会のデザイン」の共通タイトルのもとに3冊がまとめて出版された。①「民主主義を問いなおす」②「資本主義をのりこえる」③「新しい共同体の思想とは」で構成されている。
 東北の農家が毎年2月に開催している自主的な勉強会で内山さんが話したことを書籍化した。ここで紹介する③の本は2019年に語ったものだ。
 日本も取り入れたヨーロッパの文明思想は結局、国境やお金といった虚構に支配された世界だとする。野菜は実体があるがそれを売買する金は実は虚構なのに実体があるかのように巨大権力となって世界を牛耳っている。
 実体のある、結び合って暮らす共同体的世界を取り戻すには、日本の民衆が培ってきた土着・伝統の思想文化が手掛かりになると内山さんは考える。自然や祖先を大切にする思想文化である。それらの大事なものを保持した上で新しいかたちをつくろうというのだ。
 内山さんはすべてのものは関係からつくられるという考え方をする。こうした考え方は仏教の中にもある。本書では仏教史にもかなりの部分を割いている。
 華厳経が説く「一即一切」では宇宙の全真理がほこりくらいの世界にすべてある。すべてはいろんな関係によって結ばれている。「利他に徹してこそ自分も悟れる」という教えも納得できる。今の世は「自利」で他人を搾取し格差社会となっている。
 こうした暮らしを脱却し農業を始める人も多くなってきた。かつて農村は封建瀬、家父長制的なマイナスイメージが強かった。今はそれが払拭され、助け合いなど共同体的な結びつきが評価されている。
 私が関わる「農民文学」にも参加者が増え、春号(327号)には第64回農民文学賞受賞の小説と詩を載せた。山奥での農業体験を描く若い女性の連載漫画も人気だ。
 農山村には限界集落や集落崩壊の厳しい現実もある。どう対応するか、内山さんの著作集など多くの本を読んで考え続けようと思う。(カルチャー文章講師、「農民文学」編集長)

『週刊長野』2021年7月31日

 

----- 2021/7 -----

BOOK GUIDE
内山 節『民主主義を問い直す』『資本主義を乗りこえる』『新しい共同体の思想とは』

 内山節を初めて読む人には、これまで『里の在処』『時間についての十二章』『子どもたちの時間』などを推薦してきたが、これからは内山哲学の全体像を把握するのにこの三部作をお薦めしようと思う。この三部作は毎年2月に内山節を講師に行っている「東北農家の二月セミナ」の2017年、18年、19年の勉強会の報告を書籍化したものである。
 「東北農家の二月セミナー」の発足については序文に説明されている。山形県金山町の栗田和則・キエ子夫妻から講師を依頼された時、内山は群馬県上野村で2畝の畑を耕し始めたころだった。専業の農家の人たちを相手に話す力はないと内山は断ったが、その時の栗田氏の言葉は次のようなものだったという。
 「私たちはプロですから、農業や農村のことは私たちに任せてもらえばよい。そういうことではなく、今日では農家も世界はどうなっているのかとか、社会とは何か、いま何を考えなくてはいけないのかといった、さまざまなことを視野におさめていかないと、農業、農村を維持するのも大変な時代に入っている。ですからそのときの問題意識で自由に話してくれればよい。それを参考にしながら、農業、農村の場で動くのは私たちの仕事だ」
 何と東北農家の志の高いことか。驚くのがこのセミナーが35年あまりも続いているということである。この三部作を読めば内山は全身で農家と向きあってきたことが分かる。
 栗田氏は本誌の読者で、発行人と同じ昭和18年生まれである。高度経済成長に差し掛かった時に中学生だった。高校を卒業すると同級生の多くは都会に出たが、栗田氏は父親と共に山に入って植林に従事した。田畑を耕作した。高度経済成長に浮かれている時に、黙々と田園を守ってきた農家の人たちがあって今の日本の田園景観がある。
 最近、資本主義を疑う書籍が書店の店頭に並んでいるが、どうにも堅苦しくて読みにくい。この三部作には難解な哲学用語もアカデミックな学説の解釈もないが、私たちは今、どんな時代に生きているのか明瞭になる。(菅原歓一)

地域づくりは面白い。地域を学び、地域で遊ぶためのヒューマンネットワークマガジン
『ががり火』199 2021July

 

***** リンクはありません *****

・『週刊読書人』2021年5月14日号 内山節インタビュー
 <地域に根を張り、時代と向き合う>『内山節と語る 未来社会のデザイン』刊行を機に

各作品ページのURLをQRコード化したリスト(PDF)はこちら

topへ