戦後アジアの米作農村地域で
内発的に生まれた
籾の賃搗き加工所=農村精米所の
果たした役割と意義を詳述。
今日、米の増産が求められる
アフリカの米作発展の道を描く。
古賀康正 著
定価:2,200円(税込)
ISBNコード:9784540202414
発行:2021/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:四六 188ページ
歌手・加藤登紀子
農民自身が美味しいお米を食べていない??
世界のお米をめぐる事実初めて知りました。
農業を農民の手に!
途上国の米づくりというと、機械化や品種改良、灌漑施設の改善等々が頭にうかびますが、これらは「栽培」に関する事柄です。
しかし、私たちが米を「食べる」ためには収穫後、脱穀・乾燥・籾摺り・精白などを経なくてはなりません。米づくりとは本来、栽培だけでなく、収穫後の処理もふくめたものなのです。
「栽培」と「食べる」の《間》にある、こうした収穫後処理技術の点から途上国の米づくりを考察しているのが本書最大の特徴であり、類書のないものです。
途上国の開発や援助を考えるうえで、また、米づくりとはなにかをトータルに考える場合にも、本書は有益な一冊といえるでしょう。
日本と外国の米作農民の収穫後作業の比較。日本では籾摺りを農家が行ない、玄米のかたちで米は流通する(玄米流通)が、諸外国では籾のままで出荷され流通する(籾流通)のがふつうである。籾流通では米の品質がわからず、途上国では農家が買い叩かれる原因になっているという。
アジアの農村精米所。上:外観。建物右手にみえる籾殻の山は農村精米所の目印。中:ここで使われているのはゴムロール式籾摺機と噴風摩擦式精米機。下:農民たちは持参した籾を白米にして持ち帰る。撮影:著者
アフリカ・タンザニアの農村精米所(上)と路上で売られる地元産米(下)。このようなエンゲルベルグ式機械1台だけで籾摺りと精白を行なう精米所はタンザニアではもはや消えつつある。地元産米の品質は悪くない。撮影:山口浩司
タンザニアの農村精米所の例。ゴムロール式籾摺機と噴風摩擦式精米機とを組み合わせた一体型の籾摺精米機が使われている。原型は日本製だが中国製の模造品が圧倒的。撮影:山口浩治
古賀 康正(こが やすまさ)
1931生れ。東大農学部卒。農学博士。(株)サタケ製作所海外部長、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)専門家、インドネシア・ボゴール農科大学客員教授、岩手大学農学部教授等を歴任。著書『農村社会発展と技術』(アジア経済研究所)『日本における農村社会と農機具のかかわり』(共著、国際協力機構)等。
■ 書評・ネットでの紹介など ■
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●『国際開発ジャーナル』2022年12月号 BOOK INFORMATION(書評)
アジアやアフリカ、世界の米増産へ鍵を握る「農村精米所」
●『図書新聞』2021年7月24日号 書評(宗近藤生・所感雑感)
●『飢餓陣営』2021年夏(53)号 書評・東出隆(空知生命塾主宰 著述家)
●『秋田魁新報』2021年6月19日 読書 新刊紹介
…農業の担い手にとっての「幸福」とは何かを考察した好著。
●『日本農業新聞』2021年6月6日 あぜ道書店(書評欄)
関係性の中で生きる技術 評者:西川芳昭(龍谷大学経済学部教授)
…「技術水準の向上」ではなく、「農民の立場の改善」こそが技術協力の目的である。…