タネとヒト

西川芳昭 編著

生物多様性×文化多様性
=生物文化多様性の視点から
タネとヒトとの持続的な関係を
とらえなおす

タネとヒト

生物文化多様性の視点から
編著:西川芳昭
定価:1,980円(税込)
ISBNコード:9784540211560
発行:2022/1
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 268ページ

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 西川さん、蜜蜂と稲と百姓との関係に目を止めるような、種子をめぐる〈権利論〉を超えるような「新しい農学」は可能でしょうか? … 宇根豊
 宇根さん、私たちは、伝統的な農の営みに根ざす情念と、タネとヒトとの関係を包括的に分析する科学の言葉の間に架橋したいのです … 西川芳昭
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 本書のねらいは3つあります。①農家vs企業という単純な図式を超えた、種子をめぐる複雑な現実に光をあてる、②日本だけでなくアジアの小農・家族農を対象に農家の生き方や言葉にならない感覚を重視する、③生物文化多様性の視点からタネとヒトとの持続的な関係を提言する、です。

 種子については、経済的、政治的な視点から語られがちです。しかしどこかしっくりこない、もやもやする、そんな思いをもつ人も多いのではないでしょうか。それは、タネに直接かかわる人びとの姿が、そしてタネと暮らしとのつながりがみえてこないからだと思います。

 本書は、日本とアジアの小農・家族農の生き方や声にならない感覚を重視し、生物文化多様性の視点から、種子をめぐる複雑な関係に光をあてています。ぜひ一読をおすすめします。

1 自家採種のためニンジンの母本(タネ採り用の親となる個体)選抜をする有機専業農家の岩崎政利さん。タネ採り用に残す・残さないは瞬時に決める/撮影:河合史子

2 阜県揖斐川町小津地区の景観。第3章では同集落の全農地通年調査から地域品種の継承とその多様な意味について考察している。農地(田畑)は合計310筆、年間で76種類(春53種類、夏46種類、秋51種類、冬36種類)の作物および有用植物が目まぐるしく入れ替わるように栽培されている(「試し読み」参照)/撮影:広田勲

3 ワサビというと根茎の薬味利用が一般的だが、野生ワサビが分布している場所には、多様なワサビ文化が存在している。京都府南丹市芦生地区では毎年4月10日に山葵祭りが開催される。冬の熊狩りの無事を祈念した山岳信仰に基づく神事であるが、この日はワサビの解禁日であり、熟饌(じゅくせん;神事の際に捧げられる食べ物)として調理されたワサビの姿煮を参列者全員で食す直会(なおらい)が行なわれる(2014年撮影)/撮影:山根京子

4 ネパールの国民食、定食・ダルバートタリカリ。中央:そばがき、左下:サーグ(青菜の炒め物)。第7章ではサーグに使われる青菜(カラシナ;Mustard leaf)を、ソバとともに主な分析対象の作物としている/撮影:冨吉満之、ネパール・ラルジュン村にて

5 ネパール北西部のラルジュン村の集落のソバ畑。ネパールでは宿根ソバ(F. cymosum)、韃靼ソバ(F. Tataricum)、普通ソバ(F. Esculentum)の3種が栽培され、利用方法も多様である/撮影:冨吉満之

編著者

西川 芳昭(にしかわ よしあき)

龍谷大学経済学部教授。著書『食と農の知識論』(東信堂)、『持続可能な暮らしと農村開発』(イアン・スクーンズ著、監訳、明石書店)、『種子が消えれば、あなたも消える』(コモンズ)、『生物多様性を育む食と農』(編著、コモンズ)『作物遺伝資源の農民参加型管理』(農文協)ほか。

著者

(執筆順、所属は執筆時、著書は本書関連分野のみ)

宇根 豊(うね ゆたか)
百姓・農と自然の研究所代表
『うねゆたかの田んぼの絵本』(全5巻、農文協)

小林 邦彦(こばやし くにひこ)
総合地球環境学研究所研究員

河合 史子(かわい ふみこ)
総合地球環境学研究所研究員(非常勤)
『食う、食われる、食いあう』(共著、青土社)

広田 勲(ひろた いさお)
岐阜大学応用生物科学部助教
『野生性と人類の論理』(共著、東京大学出版会)

大和田 興(おおわだ ひらく)
茨城県農業総合センター農業研究所研究員

山根 京子(やまね きょうこ)
岐阜大学応用生物科学部准教授
『わさびの日本史』(文一総合出版)

長嶋 麻美(ながしま あさみ)
東京農業大学博士課程修了(農学博士)

渡邉 和男(わたなべ かずお)
筑波大学生命環境系教授
『生物多様性を育む食と農』(共著、コモンズ)

河瀨 眞琴(かわせ まこと)
東京農業大学農学部教授
『雑穀の自然史』(山口裕文・河瀨眞琴共編著、北海道大学出版会)

Ohm Mar Saw 
元農業・畜産・灌漑省(ミャンマー連邦共和国)農業研究局
バイオテクノロジー・植物遺伝資源・植物保護部主席研究員

入江 憲治(いりえ けんじ)
東京農業大学国際食料情報学部教授
『国際農業開発学入門』(共著、筑波書房)

冨吉 満之(とみよし みつゆき)
久留米大学経済学部准教授
『伝統野菜の今』(共著、清水弘文堂書房)

Bimal Dulal 
NPO法人ラブグリーンジャパン・プログラムオフィサー

吉田 雅之(よしだ まさゆき)
農業・元ネパール派遣青年海外協力隊員

坂本 清彦(さかもと きよひこ)
龍谷大学社会学部准教授
『「農企業」のムーブメント』(共著、昭和堂)

岡田 ちから(おかだ ちから)
特許業務法人秀和特許事務所弁理士

田村 典江(たむら のりえ)
総合地球環境学研究所上級研究員
『みんなでつくる「いただきます」』(共編著、昭和堂)

目次

書評・反響

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『日本農業新聞』2022年5月29日 書評
 種子の議論に方向性示す(評:農園たや 田谷徹)

 …権利論に偏重気味の種子論議に大きな一石を投じる本である。

『中日新聞』2022年5月7日(夕刊) 文化欄 新刊ピックアップ

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