中山間地域ハンドブック

佐藤洋平/生源寺眞一 監修 中山間地域フォーラム 編

「中山間地域」とは「平野の周辺部から山間地に至る
まとまった平坦な耕地が少ない地域」のこと。
人口減少・高齢化社会を先取りし、
条件不利と見られてきた「中山間地域」が、
いま、新しいライフスタイルとビジネスモデル提案の場になりつつある。
そこでの課題と取り組みを「田園回帰」「半農半X」「関係人口」など
36テーマでコンパクトに解説。
概況やデータ分析、事例、提言とあわせて未来社会を展望する。

中山間地域ハンドブック

監修:佐藤洋平/生源寺眞一
編:中山間地域フォーラム
定価:1,980円(税込)
ISBNコード:9784540212376
発行:2022/3
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:B5 180ページ
カバーイラスト:キモトアユミ

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美しい中山間地域の集落(島根県邑南町)

茅葺きの作業小屋を交流拠点として整備した作小屋村。春には周囲に花が咲き誇る(宮崎県西米良村)

農地管理だけでなく地域づくりも包括した事業を展開する(株)田切農産のメンバー(長野県飯島町田切地区)

「東和棚田のんびりRun2021」に参加した若者たちの笑顔。棚田は地域の宝(岩手県花巻市東和地区)

監修者・編者

佐藤 洋平(さとう ようへい)

中山間地域フォーラム特別顧問。東京大学名誉教授。農学博士。国際農業バイオシステム工学アカデミー(iAABE)。東京に生れる。東京大学教授、専攻長、評議員を務め、2004年定年退官。2005年独立行政法人農業環境技術研究所理事長(2011年退任)。この間、農村計画学会会長、農業土木学会会長、国際水田・ 水環境工学会会長、国際農業工学会理事、日本学術会議会員、食料・農業・農村政策審議会委員などを歴任。中山間地域フォーラム初代会長。

 

生源寺 眞一(しょうげんじ しんいち)

中山間地域フォーラム会長。福島大学食農学類教授。1951年愛知県生まれ。東京大学農学部卒業。農林水産省農事試験場研究員、北海道農業試験場研究員を経て、1987年東京大学農学部助教授、1996年同教授、2011年 名古屋大学農学部教授。2017年福島大学に着任し、2019年4月からは食農学類長。これまでに東京大学農学部長、日本農業経済学会会長、食料・農業・農村政策審議会会長などを務める。現在、 全国町村会・地域農政未来塾塾長、全国大学生活協同組合連合会会長理事など。

 

特定非営利活動法人 中山間地域フォーラム

中山間地域等直接支払制度を検証する政府の検討会のメンバーが中心になって2006年に創設(2012年に特定非営利活動法人に)。中山間地域に熱い思いを寄せるさまざまな分野の専門家や経験豊かな実務家で構成する産学民官のネットワーク。実証的で学際的なシンポジウム・研究会の開催、政策提言、市町村や地域の支援、人材育成、情報発信やネットワークの形成を活動の柱とし、中山間地域の再生と国民的理解の推進をめざしている。

公式ホームページ

目次

書評・反響

■ 読者カードから ■

----- 2022/6 -----

私の居住する市(人口38万5000人)にとって、面積の60%を占める中山間地域のあり方は、市の持続的発展をはかる上で、重大テーマとなっています。合併後やっと手探りで始まった中山間対策の着眼点を教えてくれる待望の一冊です。

(愛知県 森林組合 80代 男性)

 

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----- 2022/5 -----

図書紹介『中山間地域ハンドブック』

 中山間地域の弱みと言われる人口減少、超高齢化、地域コミュニティの弱体化という課題は、都市部でも既に顕在化しており、「今日の中山間地域問題は、明日の都市地域問題でもある。」との国民的アプローチが必要である。
 本書の副題にある「再生から未来への創造」はまさに、マイナス思考の中山間地域対策から脱却し、日本の未来を先取りする最先端の政策議論をすべきであることを示唆している。
 また、コロナ禍においては密から疎、テレワークなど社会経済活動の在り方も大きく変化し、従来の地形的、地理的、距離的不利性や過疎化等の社会生活環境が、スマート農業、デジタル化、ICTなどの新技術の急速な普及や都市部にはない豊かな地域資源の活用等により、逆に強みになり、条件不利性を克服する可能性が高まっている。
 本書では中山間地域の現状、これまでの政策や効果と課題、創意工夫による未来志向の地域事例、更に本分野の知見、経験豊富な有識者の提言などが網羅的かつ具体的に分かりやすくまとめられている。前向き、プラス思考で中山間地域問題に取り組んでいくきっかけとなる入門書でもあり専門書でもあり、是非多くの関係者に読んで頂きたい。(仲家修一・一般社団法人地域環境資源センター専務理事)

全国農村振興技術連盟『農村振興』(2022/5 Vol.869)

 

----- 2022/3 -----

書評 中山間地域ハンドブック

 本学会の佐藤洋平常務理事が監修に加わった『中山間地域ハンドブック』中山間地域フォーラム編が,(一社)農山漁村文化協会より,2022年3月10日に発刊され,本学会に献本されました.
 本書は,中山間地域フォーラムのメンバーを中心に分担執筆されており,中山間部の実情や課題を多面的に捉えて記述されています.
 ご承知の様に,コロナ禍でリモートワークが可能になり地方回帰が一部伝えられていますが,日本の少子高齢化と地方の過疎化は,なかなか避けられない状況にあります.それでも,国土の多くを占める中山間地域の保全や重要性は,何ら変わっていません.また,環境共生というキーワードとも極めて親和性の高い問題を抱えている地域です.
 本書では,中山間地域について歴史や課題を示し,これらの地域の特徴をデータを用いて概観した上で,多面的に課題を示しています.課題の括りとして,《戦略》では,地方創生や人口動向などの6テーマを,《くらし》では,集落機能と資源管理や地域運営組織など8テーマを,《しごと》では、農村漁村発イノベーションや地域経済循環など11テーマを,《人材》では,地域リーダーや関係人口など4テーマを,《政策》では農村政策の新展開や地域政策の総合化など7テーマについて,合わせて36テーマをそれぞれ見開き2ページにコンパクトにまとめられており,それぞれのテーマではキーワードも載せられています.そのため,これらの括りごとにまとめて読んでも,あるいは,それぞれ関心のあるテーマから読んでも楽しめ、なるほどと思わせる発見も多々あります.
 このようなテーマ別の記載に続き,事例による中山間地域の近未来についての記述として,《町村の取組》では4町村,《フォーラムとの連携》では3町村,《地区の 取組》では3地区および1組織について,それぞれ4~6ページに,何が,どうして,どうなった,というように分かりやすくまとめられています.どの事例も極めて前向きであり,だからこそ事例として載っているのでしょうが,いろいろ模索している地域でも,実際に何かチャレンジする後押しをしてくれそうです.
 最後に,再生のポイントが佐藤洋平常務理事を含む11名の執筆者により,提言として述べられています.こちらもそれぞれ別々の切り口で展開されています.
 全体に,具体的に中山間地域と関わってきた経験とこれらの地域への愛着が感じられ,日々,中山間地域の現場で対策に頭を悩ませ「なんとかしなくては」と感じている住民,事業者,行政職員に,元気と希望と問題解決のヒントを与えるハンドブックだと感じます.また,まえがきに記されていますが,日本の中山間地域の問題やその解決方法などを考える学習教材にも適していると思います.
 事務局に保管していますので、閲読を希望する方はお知らせください.(本部事務局 森下英治)

日本環境共生学会 『環境共生』2022.3(Vol.38 / No.1)

 

----- 2022/5 -----

書評 中山間地域ハンドブック

 NPO法人中山間地域フォーラムでは,2006年の創設以来16年間にわたり中山間地域の再生を目指して,シンポジウム,研究会,政策提言などさまざまな活動を行ってきました。この度,活動の集大成として書籍「中山間地域ハンドブック」を3月に出版しました。過疎化,少子・高齢化をいち早く経験した中山間地域は,これまでたくさんの課題を抱えてきましたが,それが混迷の時代にはいった現代社会においては新しいライフスタイルとビジネスモデル提案の場としての存在価値を発現するようになってきています。最近の田園回帰や関係人口拡大の潮流に加え,直近ではコロナ禍に伴う地方移住の動きも出てきて,かつて消滅の危機までも懸念された中山間地域が「再生から未来への創造」に向け新たな展開を始めています。しかしながらその受け皿となる地方自治体や地域社会では人材が不足し,最新の知見や情報も十分届いていない状況にあります。そのため,佐藤洋平東京大学名誉教授,生源寺眞一福島大学教授を始め,農村での実践的活動にも取り組む第一線の研究者やジャーナリスト,地域リーダー,元町長など実践者,地方自治体の担当者等中山間地域に関わりのある方々が,中山間地域の現状をデータに裏付けられた多角的な視点から考察し,中山間地域が抱えている諸課題を36の分野に整理してそれぞれの問題の所在とそれに関わる取組みをコンパクトにまとめています。また解説論にとどまらずこれらの分野に総合的に取り組む先発地域を紹介し,再生のポイントを識者や現地の実践者が提言するなどまさに中山間地域活性化に向けた至言のハンドブックになっています。
 国民の皆様に理解を深めていただけるよう,また地域おこしに携わる地域リーダー,自治体職員,地域おこし協力隊員,大学生,高校生等の活動のテキストとなるわが国初の「中山間地域ハンドブック」です。類書がないなかで,低密度社会へと進む未来社会を先取りする中山間地域の持続的発展の道筋を示すガイドブックとして長く活用されることが期待されます。(秋田県立大学 重岡 徹)

公益社団法人 農業農村工学会 『水土の知』2022年5月号(Vol.90 / No.5)

 

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『日本農業新聞』2022年7月3日 「求められる複眼的価値観」
 評:井上有紀(にいがたイナカレッジ)

『朝日新聞』2022年6月24日 生源寺眞一さん(福島大学食農学類長、中山間地域フォーラム会長)のインタビュー記事

『日本農業新聞』2022年4月17日 書店へいらっしゃい(農文協・農業書センター)
 中山間に思い寄せ

『日本農業新聞』2022年4月10日 書店へいらっしゃい(三省堂書店農水省売店)
 36テーマに簡潔解説

『全国農業新聞』2022年4月8日 話題 中山間地域に関わる初めての白書

関連情報

 

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