満洲 難民感染都市

矢島良彰 著

旧満洲の奉天で
ソ連軍侵攻から逃れた難民が
飢えや発疹チフス等の
感染症で倒れていった。
その実態と背景を
貴重な証言からたどる。

満洲 難民感染都市

知られざる闘い
矢島良彰 著
定価:1,980円(税込)
ISBNコード:9784540221057
発行:2024/8
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:四六 240ページ

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終戦直後の旧満洲。ソ連軍の侵攻から逃れてきた難民たちは、ようやくたどり着いた満洲最大の商工業都市・奉天(瀋陽)で、飢えや発疹チフスなどの感染症によって次々と亡くなっていった。
そこでいったい何があったのか。
著者は奉天での難民の大量死の一因が救済事業の遅れにあったとみて、当時の状況を資料や満蒙開拓団員、居留民、満洲医科大学の関係者などの証言からつぶさにたどっていく。難民と居留民を隔てる「見えない壁」の存在。医薬品が乏しいなか、ワクチン開発や巡回診療に奔走した満洲医科大学の医師や学生、看護師たち…。
NHK-BS1スペシャルをもとに、追加取材による新たな証言を含めて再構成。感染爆発と戦争が身近になった時代を生き抜く上で、多角的に物事を見る目を養う、貴重な歴史証言の書である。


推薦 山本太郎(長崎大学名誉教授・国際保健学)

「知られざる事実が資料や証言から次々と明らかにされる。
ポストコロナを生きる私たちは過去に何を学ぶべきだろうか?」


photo1

黒姫郷開拓団の子どもたち(提供:長崎百合子氏)

photo2

ソ連軍の侵攻ルートと満蒙開拓団を含む日本人居住地

photo3

奉天(瀋陽)市内に設けられた難民収容所(○印)

著者

矢島 良彰(やじま よしあき)

 1948年長野県生まれ。明治大学政経学部卒業。1987年映像製作会社テムジン設立。プロデューサーとして数多くのドキュメンタリー番組を製作してきた。
 「黄土の民は今 ―中国革命の聖地・延安―」(モンテカルロ国際テレビ映像祭ゴールデンニンフ賞)、「民衆が語る中国・激動の時代 ―文化大革命を乗り越えて―」(ギャラクシー賞優秀賞)、「中国・庶民の改革開放30年」(5回シリーズ)など、激動の中国を舞台に市民社会に踏み込んだ番組や、「留用された日本人 ―日中知られざる戦後史―」(放送文化基金企画賞・ドキュメンタリー番組賞)、「“認罪” ―中国 撫順戦犯管理所の6年―」(ギャラクシー賞大賞)、「周恩来の決断 ―民を以て官を促す―」など日中の現代史を追った番組、また「引き裂かれた歳月 ―証言記録 シベリア抑留-」、「原爆救護 ―被爆した兵士の歳月―」など日本人の戦争体験を掘り起こした番組に精力的に取り組んできた。
 平成27年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

映像製作会社テムジンのWEBサイト

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