シン・オーガニック

吉田太郎 著

無肥料、無農薬?
よさそうだけど無理じゃない?
持続可能性には大事だけど、スピも怪しい。
そんな疑念を持つあなたに捧げる必読の一冊
(斎藤幸平)

シン・オーガニック

土壌・微生物・タネのつながりをとりもどす
吉田太郎 著
定価:2,530円(税込)
ISBNコード:9784540231674
発行:2024/7
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:四六 368ページ

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「シン・○○」本が流行っている。「シン」には「真の」とか「新しい」とかといった複数の意味が付されていることが多いようだ。

本書『シン・オーガニック』も、真の有機農業とはなにかを追求しているし、有機農業実現に欠かせない、土壌と微生物とタネとのつながりの最新情報を詳述している。
そういう意味では「真の」、「新しい」オーガニック=有機農業の世界を描いている。

「シン」から連想される言葉にはもうひとつ、「Sym=共に」がある。共生=Symbiosisの「Sym」だ。
生命・自然の本質は、囲い込みではなく「わかちあい=共に生きる」にある。
自然に学び、模倣することこそが有機農業を可能にするカギをにぎっている。
本書では、有機農業の先駆者たちが自然に謙虚に学び農法を確立させたことも豊かに語られている。

なぜ化学肥料や農薬を使わなくとも作物は育つのか?
なぜ耕さなくてもよいのか?
なぜ多様な植物が必要なのか?

最新科学の知見と篤農家の叡智から語り尽くします。

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持続可能性と自然観からの各農法の位置付け(内田達也、千葉康伸、関根佳恵、柄谷行人、山口二郎、中島岳志氏らによるさまざまな資料より筆者作成)

著者

吉田 太郎(よしだ たろう)

1961年、東京都生まれ。筑波大学自然学類卒。同大大学院地球科学研究科中退。専攻は地質学。埼玉県、東京都および長野県の農業関係行政職員として勤務。長野県では農業大学校教授(生物学、土壌肥料学演習)のほか、有機農業推進担当職員として有機農業の啓発普及に従事した。定年退職後は晴耕雨読の生活をしつつ、フリージャーナリストとして活動。NPO法人日本有機農業研究会理事。主な著作は『タネと内臓』『コロナ後の食と農』『土が変わるとお腹も変わる』(いずれも築地書館)、『有機給食スタートブック』(共著、農文協)など。

目次

書評・反響

■ 読者カードから ■

----- 2024/11 -----

そうだったのか!と思う事が多くおもしろかった。

(和歌山県 会社員 50代 男性)

 

----- 2024/10 -----

「百姓の声を聞け」の映画会を通じて本を注文しました。鹿児島の食を語る会にはお世話になっていました。土、微生物の働き、自然の歴史、知らない事が多く、日本だけでなく、世界の研究の内容もわかりました。

(鹿児島県 医師 70代 男性)

福島正信師から自然農法を学んだ若い日に理解できなかった自然の力を今この本で科学としてうけとめ森の農法を実践していきたい。

(石川県 農業 70代 男性)

 

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■ 書評・ネットでの紹介など ■

----- 2024/12/28 -----

有機農業の「カラクリ」を説明
鈴木宣弘[東京大学大学院特認教授・信濃毎日新聞書評委員]

 著者は、有機農業分野において理論的にも実践的にも支柱たる存在だ。「シン・オーガニック」はその集大成とも言える待望の書だ。
 本書は、なぜ化学肥料や農薬を使わなくとも作物は育つのか、有機農業が可能となる「カラクリ」を解き明かす。
 地球科学の眼で見ると、窒素肥料がなくてもちゃんと微生物と協力してアミノ酸を合成できる仕組みを植物は作り上げてきた(マメ科だけでなく)。本書はこれを生命発生の起源からたどる。ただし、それには少量の酸素を必要とする「微好気性」の窒素固定酵素、ニトロゲナーゼが必要である。また、それが働くには土の団粒構造が欠かせない。そして、それを壊すのが耕起、除草剤グリホサートなどの農薬や化学肥料である。実験室で栽培された植物の根は微生物と共生せず、白い根をしている。農学者は自然ではなく、化学肥料がないと生きられない条件下で研究をしてきたのだと著者は言う。
 複雑系の生態系で微生物はタネを介して循環している。風土に根差した在来種が根と共生していることは、古くから言われてきた医食同源や身土不二への科学的説明を与える。これは、真に人間を健康とする食べ物とは、除菌されないローカルフードであることに他ならない。
 また、テクノロジーと知の囲い込みよりも、農民参加型の技のわかちあいこそが、「利己」から出発し、集落の皆で生産性をあげる「利他」につながることを実践例で示している。「今だけ金だけ自分だけ」でなく「未来のために金ではなく皆とともに」の世界を目指すのが、気候変動時代の生き残りの「レジリエンス」(回復力)なのだと強調している。
 全国の自治体でオーガニック給食実施への機運も高まる中、なぜ今オーガニックなのか、これを押さえるための必読の書である。

『信濃毎日新聞』読書欄

 

----- 2024/9 -----

月刊『クーヨン』 2024年10月号 「Book review」

 挑発的ともいえるタイトルの背景には危惧がある。「みどりの食料システム戦略」で国がオーガニック農地の拡大を宣言したが、従来の効率化・大規模化の農政を反省せず、ビジネスの論理で進めれば、オーガニックの本質をはずれかねない。
 では真のオーガニックとは? 本書が紐解くのは、生命と土の成り立ち、植物と微生物のやりとりなど壮大で緻密な自然のシステム。テクノロジーでは代われないと確信する。

 

----- 2024/7 -----

「特集 環境と命をつなぐオーガニック」で本書を紹介

マクロビオティックマガジン『月刊むすび』2024年8月号(正食協会)

 

----- 2024/7 -----

BOOK・自著紹介

『土と健康』2024年7・8月号(No.526)

 

関連情報

----- 2024/8/2 -----

著者講演『シン・オーガニック』の世界を語る

① スピを越えて

② 生命を化学熱力学から見る

③ 植物の上陸、窒素固定と団粒構造

④ 土壌生成理論とBMW技術の取り組み

⑤ 植物進化と微生物の共生

⑥ 無農薬と篤農家の叡智

オイシックス・ラ・大地:食の未来をつくる生産者の会 主催
第4回未来へつなぐ森里海の集い 講演「腐植で森里海を再生する」
YouTube@アグエコ情報屋

 

 

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