地域の力で新しい品種を生み出し
「つくり手」と「食べ手」を
つなぐ仕組みをつくった
希望のプロジェクトを深掘りする
つくり手と食べ手をむすぶ鳴子の米
農文協 編
NPO法人鳴子の米プロジェクト
定価:1,760円(税込)
ISBNコード:9784540251573
発行:2025/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:A5 160ページ
米は、安ければいいのだろうか。
20年前、中山間地域である宮城県旧鳴子町は、高齢化・価格下落・大規模農家に支援を集中させる農政により、田んぼを諦める者が増えていた。
そこで、農家だけでなく行政職員・鳴子温泉関係者といった地域住民が一丸となって「鳴子の米プロジェクト」を立ち上げた。
つくり手(農家)と食べ手(消費者)が、市場価格を超えた米の価値・食と農の大切さを共有するつながりは、今日まで続いている。
本書の執筆者はプロジェクトの実践者とそれに共鳴する識者たち。
実践の歴史と仕組みについて振り返り、CSA(地域支援型農業)・地域づくり・食料主権といった様々な視点からプロジェクトに光を当てる。
マンガもあります! 佐藤ジュンコ 作 (画像クリックで拡大版が開きます)
杭掛けは東北地方独自のイネの乾燥方法(以下撮影は寺澤太郎)
ゆきむすびで作ったおむすび。冷めてもモッチリとして美味しい
おむすびを載せる器は、鳴子の杉の木でつくられた漆塗りの板皿
稲刈り交流会の参加者で力を併せて完成させた杭掛け
2025年の稲刈り交流会は約60名が参加した
2006年に発足。寒冷な気候の鳴子に適した米「ゆきむすび」を栽培。1俵(60キロ)1万2000円の時代に、農業が持続できる価格として、2万4000円で販売した。
メンバーは、農家・行政職員・直売所グループ・ものづくり工人・温泉関係者と多岐にわたる。中山間地である鳴子の田んぼを守り、つくり手(農家)と食べ手(消費者)が「農と食の価値を共有する」理念のもと、プロジェクトの協力者・食べ手を増やし続けている。
毎年、5月下旬に田植え交流会、9月下旬に稲刈り交流会をおこなう。昼食には「ゆきむすび」のおむすびを参加者みんなで食べる。
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----- 2026/4 -----
月刊『NOSAI』 2026年4月号 「自著自薦」
NPO法人鳴子の米プロジェクト理事 安部祐輝
令和の米騒動では米価の動向や政策の良し悪しだけが注目されていますが、農の現場である「地域」には、ほとんど目が向けられていません。宮城県大崎市では平成18年から地域の農と食にこだわり、今年で20周年を迎える「鳴子の米プロジェクト」が実践されています。鳴子地域は温泉観光地ですが、一方で秋田や山形と接する山間地域で高齢化、低米価などで、離農し田んぼの耕作放棄地が急速に拡大、都市部へ住まいを移す住民も出てきていました。
そんな中、山間地の農や風景、暮らしを守るため、地域資源を徹底的に活かし、山間地向けの新しい米づくり、女性たちでの100種類のおむすびづくり、団子屋などが米粉を利用した40種類のお菓子づくり、桶職人や漆塗師の新たな器づくり、地域が一丸となり、新たに生まれた米「ゆきむすび」を魅力ある鳴子のごはんに変える実践を行いました。さらに、その米は再生産可能な価格で食べ手が事前予約で買い支える「CSA(地域で支える農業)」を実践しており、国内での先駆けとも言われています。食べ手(米の予約者)は田植えや稲刈りに鳴子を訪れ、つくり手(地元農家)との交流により信頼関係を深めており、また、地元の女性たちでおむすび屋「むすびや」を運営しています。
農文協の新刊「つながるごはん」には、結城登美雄氏の地元学、地域での実践、中山間地の価値、食料主権、社会教育、関係人口、観光と農の連携など各分野の著名な専門家の思いが綴られており、鳴子の米プロジェクトの実践の意味がわかりやすく理解できます。農と食を、つくり手と食べ手をつなぐことは、どこの地域でも始められます。本書をきっかけに、地域からのつなぎ直し、自分事として農と食を守る運動が広がってくれることを願っています。
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●『日本農業新聞』2025年12月26日 宮城・大崎市「鳴子の米プロジェクト20年」
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