水辺の小さな自然再生

中川大介 著

小さな技術の復権。
自然のもつ記憶。
土地に埋め込まれた履歴。
自然とともに暮らす社会をつくるには
どんな営みが必要なのかを知りたかったら、
この本を読むといい。
(哲学者・内山節)

水辺の小さな自然再生

人と自然の環を取り戻す
中川大介 著
定価:2,200円(税込)
ISBNコード:9784540222023
発行:2023/12
出版:農山漁村文化協会(農文協)
判型/頁数:四六 280ページ

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地域住民が発案・協働し、手づくりの技で、身近な生物の生きる環境を回復する「小さな自然再生」が全国にひろがっています。

本書は、北海道の川ですすむ「水辺の小さな自然再生=手づくり魚道」を取り上げながら、地域で暮らす人々にとって身近な自然や風景はどんな存在なのか、また、それを自分たちの力で取り戻すことの意味は何なのか、と問いかけます。

戦後の高度成長期、川は河道改修や土地の造成によってその姿を大きく変え、人々から遠くなってしまいました。この本は、東日本大震災後激変した東北沿岸の風景の描写から始まりますが、防潮堤や高台移転…。海とともにあったこの地の暮らしも風景も大きく変わってしまいました。

「小さな自然再生」に加え、もうひとつのキーワードが、哲学者・桑子敏雄さんの「空間の履歴」です。外部から見た風景や歴史でなく、そこに具体的にかかわることから生まれるのがその人にとっての、そして地域にとっての「空間の履歴」です。

「小さな自然再生」を経糸に、そして「空間の履歴」を緯糸に、地域の自然と風景のもつ意味、それを地域の力で取り戻すことの豊かな可能性についてていねいに描いていきます。

かつて、「北の国から」というテレビドラマが人気を博しました。著者の中川さんは元北海道新聞記者。北海道の川や自然、人々の営みを熟知しています。本書は、「北の水辺から」のメッセージとも言えるでしょう。ぜひご一読ください。

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三郎川での手づくり魚道(その1) 土のうを積んで堰下流の水位を下げる

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三郎川での手づくり魚道(その2) 土のうで水を堰き止めた後、水を抜いて三角水制を設置する

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三郎川での手づくり魚道(その3) 水制設置後土のうを取り除き通水する

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三郎川での手づくり魚道(その4) 魚道完成を皆で祝う

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駒生川での魚道の設置

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駒生川で魚道設置後、最上流部で確認されたサクラマスの稚魚
(写真提供:駒生川に魚道をつくる会)

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魚道設置後、駒生川に遡上したサケ
(写真提供:駒生川に魚道をつくる会。北海道の許可を得て捕獲)

著者

中川 大介(なかがわ だいすけ)

1963年岩手県釜石市生まれ。1986年北海道大学文学部卒業。1992年北海道新聞社入社。記者として本社社会部・報道本部、千歳支局、函館支社報道部、厚岸支局、東北臨時支局などで勤務。1次産業や環境保全、自然災害などを取材するかたわら、趣味の渓流釣りやカヌーを通じて河川環境の現状に危機感を抱き、「人と水のかかわり」に関心をもって研究者や技術者、ジャーナリストらとともに「北海道淡水魚保護ネットワーク」「人と水研究会」といったグループで活動。共編著に『サケ学大全』(北海道大学出版会、2013年)。2022年退社。現在はライター・編集者として函館市で「編集工房かぜまち舎」を主宰。NPO法人えんの森(北海道浜中町)、NPO法人はこだて街なかプロジェクト(函館市)に加わる。

 

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『被災学』Vol.1 北海道と東北から考える人と水辺、土地の記憶 著者・談
 聞き手/定池祐季(東北学院大学地域総合学部准教授)

『日本農業新聞』2024年3月10日(読書) 求められる関係性の蓄積
 評・大熊孝(新潟大学名誉教授・NPO新潟水辺の会顧問)

『北海道新聞』2024年2月4日 読書欄(新刊紹介)

関連情報

----- 2024/5/26(日) -----

HBC(北海道放送)ラジオ 6:50~
「サンデーモーニングトーク」に著者が出演

 

----- 2024/4/14(日) -----

桑畑書点「出版記念 トーク&ライブサイン会」
16:00~ 岩手県釜石市大町1丁目4−7
後援:釜石市芸術文化協会

 

 

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